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モスバーガー、競合に負けない「2等立地戦略の強み」を執行役員に聞いた

ビジネス

ターニングポイントだった「モスの野菜」

モスバーガー

株式会社モスフードサービス 執行役員 会長・社長室長の金田泰明氏

 50年の長い歴史のなかで、一番印象が残っている出来事はなんだったのだろうか。金田氏はこれまでの印象深い出来事を語ってくれた。

「創業翌年の1973年、当社が初めてテリヤキバーガーを販売しました。これは他の企業でも真似するくらい人気になりましたね。1987年にバンズをご飯に変えたモスライスバーガーという商品も生み出しています。それを機に『モスバーガーはオリジナリティがある』ということを知ってもらえる大きなきっかけになリました。さらに1991年に海外の台湾に出店したことも大きかったですね」

 さらに天羽氏は50年のなかでターニングポイントになった出来事を語り始めた。

「今まで野菜を近所の八百屋で買っていましたが、1997年の新価格宣言(※1)から全国のモスバーガー店舗へ納品する生野菜は全て、当社と契約を結んだ協力農家から供給するようにしました。生野菜は極力農薬や化学肥料を使用しない当社基準をクリアした生野菜を納品するようにしたんです。生産者の顔が見える野菜の取り組みを始め、ホームページに栄養成分情報を出したのは大きなターニングポイントでした」

※1 新価値宣言…1997年7月11日、協力農家が栽培した生野菜を全店で使用を開始

口コミで広がる「2等立地戦略」とは?

モスバーガー

株式会社モスフードサービス 社会共創(SDGs)グループの天羽克仁氏

 日本にマクドナルドが上陸したのは1971年。モスバーガーよりも1年早くオープンさせた。マクドナルドは1等地戦略に対し、「モスバーガーは2等地戦略」だと天羽氏は言う。

「全国の都道府県にお店が出たのは、マクドナルドさんよりもモスバーガーのほうが早いんです。マクドナルドさんは1等地にお店を構えているのでお客さんの目に触れますが、我々は当時“2等立地戦略”と言われていまして、裏路地の小さいお店で展開していました。マクドナルドさんは直営から始まっているんですが、モスバーガーはフランチャイズ方式を採用していたのでご夫婦でオーナーをやられる方が多かったです」

 モスバーガーはマクドナルドよりも「知名度がなかった」と金田氏は語る。

「モスバーガーは世間の知名度はなかったですが、地域の方の口コミで広がっていきました。飲食業界のなかでも美味しいということで、モスバーガーに加盟する人が増え、年間100店舗も出店する時代もありました。今は1254店舗(2022年2月末現在)ですが、この先まだまだ店舗数を増やしていきたいです」

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