ライオンの口臭ケア“NONIO”、売上好調の背景に「予想外だったパンデミック」
コミュニケーションへの後押しが必要
「若者の問題解決にフォーカスした商品を作りたかった」と青木氏は続ける。
「2017年前後は、SNSが普及したことで『いとも簡単に自身の失敗やタブーが広まってしまう』ことに臆する若年層が増えてきている頃でした。周囲に嫌われないよう、ファッションや髪型を意識し、流行を抑えながら対人関係を育んでいくのが、ある種のスタンダードになっていました。
社会的にもセクハラやパワハラといったハラスメント意識が高まっていたこともあり、どこか『周りの目を気にかけないといけない生きづらさ』のようなネガティブな側面も存在していました。
こうした背景を踏まえ、『自分の気持ちを伝えたいし、相手の気持ちもわかりたい』という若年層のインサイトに着目し、もっとポジティブに円滑なコミュニケーションをするための後押しとなるような商品が必要だと考えたんです」
ポジティブな“生活価値”で若者に注目
若年層に支持されるブランドへと成長するため、青木氏は「口臭が気になるシーンやモーメントの提案をしたこと」とし、次のように説明する。
「映画館で映画が始まる前にCMを流したり、野球場やサッカー場でサンプリングを実施したりと、人との距離が自然と近くなるモーメントに合わせた訴求を行ったことでブランドを知ってもらえる機会を醸成しました」
さらに、口臭を気にせず、会話が弾み、距離が近づく理想的な体験を描いたテレビCMを放映することで、NONIOを使っていただく意味を広く知ってもらうようにしたという。
「口臭科学から生まれたNONIOですが、いわゆる“機能的価値”だけを訴求しても若者は振 り向いてくれないため、口臭不安を取り除き、気兼ねなく人と会話することで、心が近づく というポジティブな“生活価値”を描写。最初のテレビCMにタレントのローラさんを起用し、一見ネガティブなイメージのある口臭ケアをポジティブな行為として伝えることを意識しました」
加えて、デザインも若い世代へ直感的に手に取ってもらいやすいよう、「パッケージには無駄なものを描かず、ミニマルでスマートさを感じるようなデザインに昇華させました。インテリアや洗面台に置いても馴染み、日常使いもしやすい商品を目指した」と語る。