貯金ゼロ、家賃5万円で起業した26歳社長が明かす「運命を変えた大きな出会い」
「食」と「農業」にまつわる産業、「食農ビジネス」で注目を集める若き経営者・三浦大輝さん(26歳)は、高校入学前に東日本大震災を経験し、食の安心・安全に関心を持つようになりました。
現在は株式会社Living Rootsの代表取締役CEOとして、「農業を選んだ人が、全員豊かな生活を送る」ことを目標に、農産物の卸売業と小売業を手掛けています。さらに渋谷をはじめ東京と埼玉で「菜根たん」という八百屋を3店舗運営。また、緊急事態宣言のなか、フードロスをセットにしてネットで販売する「フードレスキュー活動」を実施。
これがツイッターで3.9万件もリツイートされて大きな話題となり、メディアにも取り上げられました。今回も著書『渋谷の八百屋発[食農ビジネス]革命』より、「起業につながった大きな出会い」を三浦さんが振り返ります(以下、同書より抜粋して再編集)。
22歳で初の起業に至った理由
2017年12月、さまざまな出会いでつながった縁に後押しされるかたちで、僕は22歳で食農ビジネスを手掛けるディグイン株式会社の設立に携わります。初の起業でした。
この会社では現在のLiving Rootsにつながるビジネスモデルで事業を進めていました。つまり、卸業と小売業を担い、売り手である生産者さんや市場から、それを配送する運送業者さん、買い手となる百貨店や消費者の方まで、それぞれとつき合いながら、安全で美味しい有機野菜を届けるのです。
そういうとLiving Rootsとまったく変わらないようですが、両者の違いはディグインは卸業、生産者、運送業者の方たちとの関係づくりにウエイトを置いた点にあります。その第一歩として集荷拠点となる自社センターを配し、民間運送業者と提携して全国の産地との間に独自の物流網を構築することで、既存のシステムを使用するよりも物流費を大幅に抑えました。これはLiving Rootsでも踏襲しています。
つながりから新たなつながりを生む
小売業という面では、マルシェや百貨店への期間限定出店、ポップアップショップなどでの展開を精力的に行っていましたが、「菜根たん」のような固定店舗がなかったため、多くのお客さんとのつながりを育てるという面ではやはり難しいところがありました。
一方で、個別宅配を行っていたので、そこでも出会いやつながりが生まれました。僕の顧客には著名人も多く、よく利用していただいています。「どうやって知り合ったの?」と聞かれたりするのですが、それはディグイン時代にお宅まで青果をお届けした際に、若い八百屋に興味を持ってもらったこと、そして僕たちの商品に満足してもらったことがきっかけだったりします。
隣にいたご友人が、じゃあうちにもお願い、という流れでお客さんの輪が広がるということも一度や二度ではありません。動けば動いただけ「つながり」が生まれるという僕の確信は、こうした「ふとした縁」を体感したことにあるのかもしれません。