子供のコロナ感染で「月収が2500円に」アパレル勤務女性を襲った困難
助成金の使用を会社側が拒否
Aさんのケースは、自身が感染していた期間以外の休暇期間は、コロナに感染したもしくは濃厚接触者となった子どもの世話のための休みですから、小学校休業等対応助成金の対象となります。そこでAさんは会社に小学校休業等対応助成金を使って給与を支給してほしいと訴えますが、会社はそれらを拒否しました。
小学校休業等対応助成金は、企業が同助成金を使ってくれない場合に、国から労働者が直接給与の補償を受け取る「個人申請」が可能です。
Aさんは、今度は個人申請制度への協力を会社に求めますが、会社はこれについても受給に必要な記載をしてくれず、Aさんは労働局に個人申請をしたものの不支給となってしまいました。結局、何の給与補償も受け取れなかったのです。
なぜ助成金は使われないのか?
なぜ小学校休業等対応助成金は使われないのでしょうか? これには、いくつかの理由があります。
第1に、病気などにかかった子どもの世話をするための給与補償付きの休暇取得が、労働者の権利として実現していないという事情があります。スウェーデンでは、生後8か月から12歳までの子ども1人につき最大年間120日の看護休暇が、通常給与8割の給与補償を伴って保障されています。
こうした看護休暇が法的な権利として労働者に保障されていれば、Aさんは給与補償を受け取ることができたでしょう。しかし日本では、給与補償付きの看護休暇は、法的な権利としては労働者に付与されていません。
一応育児介護休業法では、未就学の子ども1人につき年間5日(2人以上は10日)の子の看護休暇が付与されておりますが、給与補償をするかどうかは企業の判断にゆだねられています。無給でも構わないのです。したがって小学校休業等対応助成金という制度があったとしても、労働者に給与補償をするかどうか、助成金を使うかどうかは、完全に企業の判断にゆだねられるのです。