注目のアーティスト28歳が抱く違和感「日本で個性を出すことは大変」
「行間を読む」文化はめちゃめちゃ強い
――自分の意思を表明することの大切さを。自分の個性を生かす方法はアドバイスを?
チョーヒカル:もちろんニューヨークにも空気を読む文化はあるのですが、それでも日本には「これって意味わかんないな」「ここまでする必要あるのかな」っていう文化が多々あると思います。例えば女性の服装とか仕草とか。
私も会社員ではなかったけど、フリーランス時代には、バリバリに空気を読もうとして、「わかってる女はこうだよね」みたいな感じで、かなりそういう空気に迎合していました。ファッションとかもそれっぽくまとめたりして(笑)。
現実として日本の「行間を読め」って空気はめちゃめちゃ強いので、大きい会社や集団、組織の中で和を乱して、まわりに目をつけられても、それでも個性を出すことは大変だと思います。そういう社会の空気がすぐになくなることもないと思います。でも、その無意味なサイクルに自分も加担していることに気づいて、それに違和感を覚えている、あなたが正しいし、あなたは間違っていないことを伝えたいです。
もしあなたが上司や先輩だったら、立場の強い人のほうが、弱い人のほうに何かできるようにしてあげてください。そこから少しずつ変わっていくと思います。部下だったら、何かあったらメモに書いて、すぐ人事に言っちゃうとか。当然アメリカにもクソな上司は山ほどいるので、私も我慢せず、人事にチクっています(笑)。あなたが正しい側で、社会がまだ追いついていないだけです。
<取材・文/詠シルバー祐真 写真提供/チョーヒカル>
【チョーヒカル(趙燁)】
1993年東京生まれ。体や物にリアルなペイントをする作品で注目され、衣服やCDジャケットのデザイン、イラストレーション、立体、映像作品なども手がける。多数のメディア出演に加え、企業とのコラボレーションや国内外での個展など多岐にわたって活動する。著書に『じゃない!』『やっぱり じゃない!』(フレーベル館)、『絶滅生物図誌』(雷鳥社)、『ストレンジ・ファニー・ラブ』(祥伝社)などがある