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販売休止の危機も…キンレイ「冷凍食品シリーズ」が鍋調理にこだわる理由

ビジネス

 新型コロナによる巣ごもり需要の影響もあり、冷凍食品が売り上げを伸ばしている。自宅にいながらラーメン屋など専門店の味が楽しめる冷凍食品として、2021年9月に新発売された「お水がいらない 札幌味噌(「噌」は口へんに曽)ラーメン」は、わずか3か月で100万食に迫る勢いとなった。

キンレイ

株式会社キンレイの商品本部商品部 若生直浩氏

 製造元の株式会社キンレイによると、「お水がいらない」シリーズは、まったく売れずに販売をやめようかという時期もあったという。そこで、商品が売れるまでの苦労とともに、その商品開発秘話などについて、株式会社キンレイの商品本部商品部 若生直浩氏に話を聞いた。

「お水がいらない」シリーズとは?

 お鍋であたためるだけの簡単調理が可能な「お水がいらない」シリーズ。ラーメンや鍋焼きうどんほか、電子レンジ調理が可能な「汁なし麺」シリーズ、長崎ちゃんぽん発祥の店「四海樓(しかいろう)」が監修したちゃんぽんなどもある。

「もともとは前身の会社が、ガスを世の中に提供していく過程のなかで、ガスを凝縮させたり気化させたりするときに出る廃熱(冷熱)の応用利用を考えたことがキッカケです。1974年に創業し、一部の事業として冷熱を利用した冷凍食品の宅配をおこなっていました」

 当初は売り上げに苦戦したというが、主力商品や営業戦略はどのようなものだったのだろうか?

売り上げに苦戦「販売を1回やめようか」

キンレイ

「お水がいらない」シリーズ一部

「当初は麺類だけでなく、値段は少し高いけれど、レストランシェフのレシピでつくられたビーフシチューが楽しめるなど、味にこだわった洋食も販売。関西でもコンビニエンスストアが誕生しはじめた1978年には、コンビニエンスストアさんにルートセールスで冷凍商品の棚に置かせてもらい、売れたらまた補充するという感じで販売していました」

 商品を置かせてもらえるコンビニの店舗が増え、そこからトライアル的にスーパーでの販売に乗り出すが、ほかの冷凍食品との差別化が図れず、思わぬ苦戦を味わうことに。

「35年ぐらい前から、スーパーさんにはトライアル的に置かせていただいていましたが、ずっと苦戦続きでした。2006年頃からスーパーさんでも本格的に商品展開しようと取り組みましたが、ほぼゼロぐらいの売り上げだったので、社内では『販売を1回やめようか』という話も出たぐらいです

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