路上生活からの脱出をサポートする若者たち。生活保護のあり方に異議を唱える
年末年始に大宮駅周辺で、家を持たない人に声をかけ、行政からの支援が受けられるようにサポートする“家あってあたりまえでしょプロジェクト”の代表を務める上智大学4年生の岩本菜々さん(@IwamotoNana)に、行政の対応について語ってもらったのが、前回の記事。
今回は家を失っても生活を建て直すために求められる仕組みや、声を上げることの必要性など話を聞いた。
抗議し続け、宿泊施設を確保
前回の記事から引き続きになるが、行政の対応に対して、岩本さんが怒りを覚える場面は少なくないらしい。とりわけ「家あってあたりまえでしょプロジェクト」では、大宮駅周辺で、家を持たない人に声をかけ、行政からの支援が受けられるようにサポートをしているが、まさにその場面で、である。
「年末に活動をはじめて3日目で、市が提供していた一時宿泊施設10部屋が全て埋まりました。すると、さいたま市から『これ以上部屋を増やすことはできない』と告げられました。さらには、一時宿泊施設を必要とする人が続々と役所を訪れるなか、『一時宿泊施設は満室になりました』という張り紙を窓口の入り口に掲示したのです。
私たちは、この行政の対応に『ルールよりも目の前の人の命を優先してください』と抗議し、家がない人全員に対し、宿泊場所を確保するよう求めました。私たちと当事者が一緒になって、粘り強く宿泊施設の拡充を求め続けた結果、翌日には必要な人全員に宿泊施設が確保され、宿泊施設は17部屋まで拡充されました」
多くの人に安心して年を越せる環境を提供できた
「このこと自体は、小さな変化かもしれません。しかし、私たちはこの経験を通し、『行政のあり方は変えられる』『皆で諦めずに要求すれば、家に住む権利は実現できる』ということを実感しました。『たくさんの人が一緒に抗議してくれたから、私も勇気を出して住居を提供するよう求めることができた』といった反応がありました」
さまざまな困難に見舞われたが、諦めずにアクションを起こした結果、多くの人に安心して年を越せる環境を提供できたことに、岩本さん自身も安堵したようだ。