創業100周年の象印マホービン、「おしゃれ家電」に見た活路。累計37億円超の売上に
コンセプトショップを表参道に開設
苦労を重ねた末、2年弱の開発期間を経て、STAN.を発売したのは2019年2月。すでにバルミューダやブルーノが市場を先行くなか、STAN.をどのようにして広めていったのだろうか。
「STAN.は発売当初からIH炊飯ジャーと電動ポット、コーヒーメーカー、ホットプレートの4製品を市場に出しました。100年の歴史を誇る老舗企業だからこそのブランド力や信頼感、性能面もさることながら、4アイテム同時に発表・発売したことが他社との差別化を意識した点でした。
また、STAN.のブランドを体感できるコンセプトショップ『STAN.TABLE』を期間限定で表参道にオープンし、話題喚起にも努めました。この時から象印マホービンとしてもSNSを本格的に取り組むようになり、STAN.の魅力が伝わるように発信を心がけてきたんです」
ブランドを象徴する「象」のマーク
さらに、デザイン面のこだわりは堀本氏にとって「ずっと思い描いていた夢」でもあったと話す。
「2009年以降、象印を象徴する『象のマーク』とアルファベットの『ZOJIRUSHI』を組み合わせて使用するのが基本ルールでした。それが今回のSTAN.では象のシンボルマークだけを商品に冠するデザインにしたんです。さながらアップルのMacのように、ブランドのアイコンとなるマークを、堂々と表示できるようなプロダクトを出したいと長年考えていました。
そういう意味でも、100周年という節目で開発するSTAN.のプロジェクトは、まさにタイミングとしてもぴったりだと思い、象印の原点に立ち返る意味でも象のシンボルマークだけを入れることにしたんです」
堀本氏を中心に立ち上がった「STAN.」のプロジェクトチームは、当初は小さな規模だったが、2019年にプロダクトをリリースした後に、今後どういうアイテムを追加するべきか。あるいはどういうブランドに育てていくかなど、ブランドの方向性を決めるようになったという。