中国製ゲームが市場の3割を独占…日本と逆転した「中国ゲーム開発」の脅威
売り上げトップ100のうち33タイトルが中国
クリエイターのレベルが上がっていることで、最近では『原神』や『ミラクルニキ』など中国企業が独自にIPを開発し、世界中でヒットを飛ばし始めた。米調査会社センサータワーによると、昨年の世界のモバイルゲーム売り上げランキングは、1位が『PUBG』、2位に『王者栄耀』、3位は『原神』と、上位タイトルを中国勢がほぼ独占している。
日本でも中国ゲームのプレゼンスは高まっており、売り上げトップ100のうち33タイトルが中国のパブリッシャーのもので(2021年第3四半期)、市場の約3割を中国製ゲームが占める。日本人のユーザーの知らないうちに、中国ゲームが入り込んでいるのだ。
現状は、中国企業が開発するのはモバイルゲームが中心だが、今後はコンソールゲーム(家庭用据え置き型)でも活発になる可能性がある。前出の高橋氏は言う。
「中国のパブリッシャーはモバイルゲームでこれまでさまざまな課金方法を生み出してきましたが、その企画力がコンソールへと向かうでしょう。コンソールは日本が得意としている分野ですが、将来的には、この分野でも日本の優位性が揺らぐ可能性があります」
ゲームも携帯電話や家電の二の舞に!?
なぜ優位性が低下するのか。前出のプロデューサーは日本のゲーム業界が抱える問題を指摘する。
「開発コストがひと昔前の10倍かかり、加えて莫大な広告宣伝費がかかるとなると、利益を出せるのは一部の大手企業だけ。その大手企業とて、売れる可能性の高い無難な作品しか作らない。私は若い日本のクリエイターに、本気でゲームを作りたいなら中国企業に入れと言っています」
最後に高橋氏はこう危惧する。
「今後、中国のゲームはどんどん海外で配信されるでしょう。日本のゲーム企業は続編が好きですが、それだけでは戦い切れない。ガラパゴスのゲームばかり作っていると、家電や携帯電話での失敗の二の舞いになりかねません。私は中国でゲームコンテストを運営していますが、学生がプロと遜色ないゲームを作っています。そういう人たちが、即戦力としてゲーム企業に入る。クリエイターの年齢が日本より圧倒的に若く、世界中の若者のニーズを捉えたゲームを日々、開発しているのです」
まずは若いクリエイターの育成に力を入れる必要がありそうだ。