ドン・キホーテ、経営多角化が裏目に。“32期連続の増収増益”も怪しい雲行き
コロナ禍でも業績拡大が続いていた
近年の業績を見てみましょう。同社公表の決算資料によるとコロナ禍でも21/6期まで成長が続いていたようです。2017/6期から2021/6期までの業績は以下の通りです。
【2017/6期から2021/6期までの業績】
売上高:8288億円⇒9415億円⇒1兆3289億円⇒1兆6819億円⇒1兆7086億円
営業利益:462億円⇒516億円⇒631億円⇒754億円⇒813億円
最終利益:331億円⇒364億円⇒471億円⇒499億円⇒539億円
店舗数(グループ):368店⇒418店⇒693店⇒629店⇒667店
2019/6期までは店舗数の増加に伴って規模を拡大した形です。2018/6期は国内でドンキを24店舗、長崎屋を3店舗新設したほか、海外ではハワイのスーパーを展開する企業を子会社化し、24店舗がグループに加わりました。店舗数の増加だけでなく、化粧品や医薬品がインバウンド需要で伸び、増収に貢献しました。
アパレル・百貨店のような大幅減収を免れた
翌2019/6期も国内のドンキが20店舗増えましたが、最大の増収要因はユニーを子会社化し、188店舗増えたことです。2020/6期はコロナの影響でインバウンド関連に影響が出たものの、ニーズに合わせた商品変更などを実施し、ドンキ関連事業が増収となりました。
また、同期にはユニー株式会社の完全子会社化が完了し、同社店舗の売上高を全て算入できるようになったため総合スーパー事業の売上が85%も伸びました。そしてコロナ真っ只中の2021/6期も増収増益を維持しました。
主力のドンキ関連事業は既存店売上高が減少しましたが、店舗数の拡大によって事業全体では増収となりました。これが他事業の減収を補う形で全社ではなんとか増収を維持したようです。ディスカウントストア、総合スーパーとどちらも必需品を扱う業種であるため、コロナ禍でもアパレル・百貨店のような大幅減収を免れることができたと考えられます。