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M-1グランプリで話題の“8人組”主宰が語る、諦めと強み「ずっと芸人になりたかった」

暮らし

「劇団」を名乗らないからコントも演劇もできる

ダウ90000

――ダウ90000が「劇団」と名乗らないのはなぜですか?

蓮見:僕、ずっと芸人になりたかったんですけど、芸人になれるほど面白くないと自分で思って諦めたんですよ。芸人さんってネタ云々じゃなく、人間としての面白みがあるじゃないですか。それが僕にはない。でも、コントを書くのは楽しかった。

 だから「演劇」という言い方にしたら、芸人じゃなくてもコントをやってもいい感じになるな、と思って大学の演劇サークルでずっとコントをやっていたんです。でも「劇団」とはっきり名乗ってしまうと、コントの受け取られ方がちょっと変わるじゃないですか。

――なんとなく、わかる気がします。

蓮見:だからそのへんはフワフワさせたまま、コントを観た人からは「8人組でコントをやってる人」、本公演を観た人からは「演劇をやっている人」と思われておくのが得だな、そしたら早く売れるんじゃないかな、と……。ダウ90000を組んだとき、「メンバー全員がこの仕事で食えるようになる」という目標をもったんです。

 もし演劇かコント集団かどちらかに決めてしまうと、どっちかの仕事しか来ないのがいやだった。いろいろやるためには、今みたいに「8人組」とだけ言っておくのが一番いいかなって。

ターニングポイントはコントライブ

――慧眼ですね! 実際、結成1年そこそこでこれだけの注目を集めているわけですし。結成から今に至るまで、蓮見さんの考えるターニングポイントはどこでしたか?

蓮見:僕ら、テアトロコント(渋谷・ユーロライブで毎月開催されている、演劇とコントを取り混ぜて上演するライブ)に出演したくてコントライブを始めたんです。ダウ90000を結成して、まず2021年1月の劇場をおさえて、演劇公演をやることにしました。さらにそれまでの3~4か月で毎月コントライブをやって、どんどんYouTubeにアップしようと決めたんです。

 長い演劇だと観るのにもカロリーがいるから、広告だと思って数分のコントをばらまく。それでたくさんの人に興味を持ってもらって、演劇公演に来てもらおうって。

 その先で「テアトロコントに出られたらいいね」とメンバーと言い合っていたら、12月の公演にもうテアトロコントのプロデューサーの方が観に来てくださって、3月には出られることになった。あれがすべてのきっかけだった気がします。

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