インターホン大手の業績が過去最高。“最大のライバル”の失速が背景に
伸び続けるフードデリバリー需要が大きい?
日本能率協会総合研究所の調査によると、フードデリバリーサービスの市場規模は2020年に2000億円を超え、前年の1700億円から大きく伸長しました。この市場は2022年に3300億円まで成長すると見られています。
ニールセンデジタルの調査では、フードデリバリーサービスの利用頻度が高いのは若年層の女性であり、特に一人暮らしの割合が高いと明らかにしています。
これらをもとに考えると、集合住宅で暮らす都市部の独身女性が、非接触・非対面でフードデリバリーサービスを利用したいというニーズが高まり、集合住宅におけるインターホンの導入が促進されたと考えられそうです。それはアイホンが業績好調の要因として説明している内容と合致しています。
好調の背景にあるのは半導体工場の火災
しかし、テレビ付インターホン市場を見渡すと、新型コロナウイルス感染拡大の影響が色濃く出た2020年、2021年は生産数が激しく落ち込んでいます。
「フードデリバリーサービスの台頭でテレビ付インターホンのニーズが高まっている」というのは、古い集合住宅オーナーへの営業トークとして有効になりそうですが、実際に需要が膨らんでいるわけではありません。
それでは、なぜアイホンは集合住宅向けの商品が売れたのでしょうか? 背景には2020年10月と2021年3月の半導体工場の火災があったものと考えられます。半導体不足によって最大のライバルであるパナソニックの供給量が落ち、その穴をアイホンが埋めたのです。