パワハラ自殺が大企業で相次ぐ。佐川急便、三菱電機…なぜいつも防げないのか
職場で上司から「パワハラ(パワーハラスメント)」を受け、自殺したというニュースが目立っています。
第三者の立ち位置でニュースを見ると「とんでもない会社だ」「なぜ周囲の人は助けないのか」「そんな会社辞めればいいじゃないか」など言いたくなるかも知れません。しかし、毎年のように同じことが繰り返されています。
その原因はどこにあり、なぜ悲劇は繰り返されるのでしょうか。本記事ではハラスメント専門家の筆者(村嵜要・@murasaki_kaname)がパワハラによる自殺を防げない原因に迫り、現在ハラスメント被害に遭っている本人や周囲の人(同僚、家族、友人)に最悪のケースを防ぐためのアドバイスをお伝えします。
佐川急便の男性社員がパワハラで自殺
2021年6月、佐川急便で働く男性社員(当時30代)が上司からのパワハラを受けて自殺するという事件が起きました。パワハラを指摘する内部通報が匿名で2件ありましたが、会社側の管理部門は本人含む部下への聞きとりは行わず、当事者の上司のみ聞き取りを行い、パワハラはなかったと結論づけました。
しかし、男性社員が自殺したことにより、会社側は再調査を行い、パワハラを認め遺族に謝罪しています。
2020年1月にはヤマハの男性社員(当時30代)、2019年8月には三菱電機の男性社員(当時20代)いずれも上司からのパワハラを受けて自殺するというケースが大企業で相次いでいます。
パワハラ自殺を防げない原因として
企業のハラスメント対策が機能していないことは言うまでもありませんが、その場合は誰が助けることができるのでしょうか? まず職場の同僚、家族、友人などが考えられますが、そこにも難しい実態が見えてきます。原因として考えられるケースを以下に列挙したいと思います。
■ 職場の同僚が助ける難しさ
・日常的にハラスメントが起きている職場環境だとマヒして異常に気づけない
・言われる側にも原因があるという考えもあるため、周囲もハラスメントの判断が難しい
・介入することで報復されるリスクがある
■ 家族、友人が助ける難しさ
・本人のプライドや心配をかけたくない思いから弱さを見せないため状況を把握できない
・長時間労働の職場が多くSOSを発信できるタイミングや時間が限られている
・相談されても本当に危険な状況なのか、判断が難しく「退職したほうが良い」などの意見を強く言えない
などのケースが原因として挙げられます。周囲の人が助けたくても、結果的に助けることができない実態が見えてきます。