「若者の政治離れ」という傲慢な声と“維新”の躍進。衆院選を今さら振り返る
若者向けの政策と、それを届ける努力が必要
若者の政治離れと大上段から言っているばかりでは、本質を見誤る。彼らが「なぜ選挙に行かないのか」は上の世代も含めて議論するべきだ。まずは自分たちの世代のことが気になるのだが、それぞれの世代の課題に応えなくては社会は壊れていくし、その問題は自分たちに振り返ってくる。
学生たちは忙しい。いまの大学は講義の宿題も多いし、出席管理も厳しい。学生生活を続けるためにアルバイトはマストだし、通学時間が長い学生もいる。
「若者が政治離れしているぞ」と言うのはエゴだ。そして、若者向けの政策と、それを届ける努力が必要である。
コロナ禍で問われた「◯◯でないもの」
今回の選挙のトピックのひとつは、野党共闘だった。立憲民主党、共産党、れいわ新選組、社民党など野党が289の小選挙区のうち約75%の217の選挙区で候補者を一本化。
結果はどうだったか。自民党も、立憲民主党も議席を減らした。もっとも、自公の連立与党は絶対安定多数を保った。議席数の減少数は自民党も、立憲民主党もほぼ同数だったが、減少率においては、言うまでもなく、立憲民主党のほうがダメージが大きい。「敗北」の責任をとって枝野幸男氏が代表を辞任した。
ここまではすでに、何度も報道されており、論じられているところだ。いかにも野党共闘が失敗したかのような報道が散見されるが、結果として議席は減らしたものの、接戦の選挙区が多かったのもまた事実ではある。
衆議院選は政権選択選挙である。特に今回はその色が強かった(少なくとも、共闘した野党はそうアピールしていた)。「国民が自分たちの未来を委ねるための選挙」だった。結果として、自公は絶対安定多数の議席を確保した。議席自体は減らしたのではあるが。