選挙ポスターから“笑顔”が減った?選挙グッズ会社の緻密すぎるノウハウを聞く
ここ数年でポスターにQRコードが
――有権者サイドを意識した工夫はありますか?
田村:たとえば、候補者の主張が書かれたビラを作る際も、記載された主張に対して有権者が見やすいように「順番を変えてみてはいかがですか」と、客観的なアドバイスをさせていただくこともあります。私たちの第一の顧客は候補者ですが、その方の目的達成のためには有権者にとって見やすいグッズの提供が重要です。そのために、候補者と口論にも近いディスカッションを交わすこともありますね。
――それぞれの時代ごとにブームなどはあるんでしょうか?
田村:厳格なルールがあるので、ブームは起きにくいです。訴求相手が、50代以上の有権者ということもあって、新しい試みよりは安定が好まれますね。ただ、ここ数年でQRコードをつけて候補者のホームページなどに誘導するポスターはようやく増えました。
新人候補は主張よりも顔と名前を売るべき
――写真の撮られ方にも流行はありますか?
田村:昔のほうが笑顔が多かったように思いますね。昔は、大きな政党がひとつのノウハウを形成していて、それが今も継続されています。逆に今は、それに対抗するように笑顔ではない撮り方を模索する人もいるんですが、王道への対抗として効果的かというと、私は懐疑的ですね。
「○○元総理みたいなポスターに」というオファーはあります。視線を外して未来を見ているようなイメージの写真です。モデルには総理大臣になるような人で、知名度があるから、主張メインに未来を感じさせる写真でいいのですが、新人は主張よりも顔や名前を売らないといけないので、そういった点については丁寧に説明させていただきます。
――グッズに使う色の流行はありますか?
田村:色については、候補者や政党からではなく、マスコミの方から「なるべく多くの色を使って欲しい」という要望が出たことはあります。選挙の様子を放送するときに、ひとつの政党に偏らないように気を使うんですが、ある特定の色がたくさん映ったら、政党贔屓のようになるので、他の色も混ぜて作って欲しいということですね。