ゲオが運営「超格安ブランドストア」が都心進出。人気のワケを社長に聞く
柔軟な調整は複数ブランドを扱うからこそ
ラックラックには、アパレルやビューティーなど一分野をメインにした店舗も存在するが、初めから意図したわけではないという。
「50坪ほどの店舗と400坪ほどの店舗があるとして、後者では子ども服やインナーウェアといった商品も数多くカバーできますが、前者の店舗では難しいですよね。また、地域ごとの客層や特色もあります。大阪のリノアス八尾店では、初期の売れ行きでメンズものやブランド品が多く売れたことが分かったため、他店舗と比較しても単価が高いものを扱うことが多いです」
価格・テイストが揃い、調整が難しいワンブランドに比べると、様々なブランドを扱うため、調整・補正しやすいところも強みだ。立地や坪数、客層に合わせた店舗づくりや仕入れも可能になる。
「一方で、出店する商業施設の中に、扱っているブランドのショップがある場合は店頭に並べるタイミングも慎重になります。やはり、通常より安価で販売しているため、直営店とのバッティングは避けたいところ。逆に、そのタイミングをショップと相談しつつ調整することが、取引上での信頼感にも繋がっていきます」
「セカスト」出身だからできる「目利き」
「宝探しのようなショッピング体験」を掲げているラックラックだけに、リピーターを生み出す店舗を、どのように構築しているかは気になるところだ。
「何よりも、品揃えの豊富さに力を入れています。それも同じアイテムで固めるのではなく、もし100個の商品を並べるなら、それぞれ違った100点のアイテムを並べたいですね。同時に、品揃えが良くなればなるほど、探し出すのも大変になります。幅広いブランドを扱いつつ、テイストやジャンルを固め、ストレスなく買いものができるようなレイアウトを心がけています」
同じゲオホールディングス傘下の総合リユースショップ「セカンドストリート」の運営を担当していた川辺氏。ラックラックのバイヤーの中にも同店のリユース部門の経験者が多いとのことだが、そのノウハウはどのように活かされているのか。
「多くのブランド品を扱うため、幅広い知識を備えたスタッフが多いです。中古品が主なので、現時点ならどれほどの値段が付く商品なのかという相場感も身につけていますね。トレンド・時期を踏まえ、どの価格が妥当か判断できる『目利き』は、オフプライスストアでも通用します。
セカンドストリートでは、お客さまが持ち込む商品で『かぶり』はほとんどありません。極端な話、1万点持ち込まれれば1万通りの商品があるほど。なのでバラエティに富んだ商品をどうカテゴリー分けするかという店舗のレイアウト作りにも長けていきます。スタイルを定めた自社ブランドだけを扱っていると、こうはいかないでしょう。年代もテイストもバラバラな中から共通項を見つけ出し、ワンフロアを作り上げていく……。リユースで培ったテクニックと経験は、ストアにも活かせます」