国民的アイドル・嵐を生んだマーケティング術。カギは「6人目の嵐」の存在
嵐のブランドを育てた「6人目の嵐」とは?
清水:伝えることがマーケティングにつながるということですね。
射場:最近のマーケティング理論では、ファンから拡散されていく、「ファンマーケティング」が注目されています。嵐メンバーは嵐ファンを嵐の一部として巻き込んで一緒に嵐というブランドを育てていくことがとても上手でした。嵐は5人組グループですが、ファンを「6人目の嵐」と言い続け、かつ実際に6人目だと感じてもらい、一緒に嵐というブランドを応援していく。マーケティング手法としては非常に有効なやり方を展開していました。
嵐の成長や成功は、嵐だけのものではなく、私たち,ファンと嵐メンバーたちのもだと実感してもらうことができていたんですね。自分のブランドの顧客が自分と同じくらいにブランドを愛して応援してくれているという、マーケティングにおいて一番強力な状況がつくられていたと思います。
射場:テスラの例でいえば、ファンを育てればファンが語り部となって拡散し、マーケティングをやってくれる「ゼロマーケティングダラーズ」という思想ですね。実際に、「各州で電気自動車が売れるように法律を変更するべきだ!」という、地方政府に対してのロビー活動までファンがやってくれていたそうです。
多様なメディアとコミュニケーションの手法がある時代だからこそ、人の心を動かして熱量を生むマーケティングが重要となり、ターゲット顧客やファンの心にその価値が伝わらないものは、人の心の中での優先順位が落ちていく、マーケティングの戦略を考え直す必要があると言えるのではないでしょうか。
<構成/清永優花子>
【射場瞬】
IBAカンパニー代表取締役社長。コルゲート・パマリブ社、クラフト社、 アメリカン・エキスプレス社など18年間、米国企業の本社とアジアにて、新規事業開発およびマネージメントに従事。日本コカコーラ社副社長を経て、現職。著書に『「嵐」に学ぶマーケティングの本質』がある
【清水俊宏】
2002年フジテレビ入社。報道局配属後、政治部記者、番組ディレクター、プロデューサーなどを経て、2021年からはYoutube向けのオリジナル番組「#シゴトズキ」を立ち上げ、MC兼企画プロデュースを務めている。
Twitter:@goodboytoshi