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職場の「ハラスメント調査」は本当に信頼できる?理化学研究所で悪質な事例も

ビジネス

 ハラスメントの種類と言えばパワハラ、セクハラ、マタハラなどたくさんありますが、その調査の実態はあまり知られていません。ハラスメント調査とは、基本的にハラスメント被害者や第三者がハラスメント事案を会社に相談することにより、調査の段階に進むことが一般的な流れとなります

ハラスメント

※画像はイメージです(以下同じ)

 会社の役員や社内のハラスメント調査委員のメンバーでもない限り、どのように調査が進むのか、証言しても本当に大丈夫なのか? など、その実態を知る機会はあまりないと思います。被害に遭った人が、勇気を出してハラスメント相談窓口に電話をして、初めておおよその流れが理解できる場合が多いのではないでしょうか。

 本記事では、ハラスメント専門家の筆者(村嵜要)が、ハラスメント調査の実態と関係者や目撃者としてハラスメント調査の協力依頼が来た場合に、どのように対応するのが望ましいのかアドバイスをお伝えします。

ハラスメント調査と第三者委員会の違い

「ハラスメント調査」とは、社内の従業員が担当する場合や外部の専門家が担当する場合もありますが、調査の結果、ハラスメントに認定する判断をした場合は、就業規則に記載されているハラスメント行為の禁止を根拠に懲戒処分を行います。調査結果に対して懲戒処分を判断する権限が社内にあるのが特徴です。

 調査で混同してしまいがちなのが、「ハラスメント第三者委員会」というものがあります。パワハラ第三者委員会など名称はさまざまです。第三者委員会の委員として外部の弁護士や専門家などに依頼し、調査結果の権限を第三者委員会に委ねて、依頼した企業は第三者委員会の見解や助言に従います。

 筆者が代表理事を務める日本ハラスメント協会では、企業や団体のハラスメント調査やハラスメント第三者委員会を外部の専門家として受託していますが、ほとんどの企業では事案に対して従業員が調査しているのが実情です。より複雑だと考えられるハラスメント調査のみ、外部の専門家に依頼しているケースもあります

進め方は企業によってバラバラ

大企業

 従業員がハラスメント調査をする場合、以下の人が担当するケースが多いでしょう。

【担当者の一例】
・人事部、総務部、管理部、業務部の担当者
・現場の責任者

 ハラスメント調査の対応に慣れている企業は多くありませんので、調査体制は万能ではない可能性があることも理解しておくのが良いでしょう。また、調査の進め方は企業によってバラバラです。中小企業では懲戒処分の判断を人事部と役員が決める場合もありますし、大企業では人事部と役員の意見を参考に、社内で別に設けているハラスメント懲罰委員会のメンバーが意見を出し合い、最終的な判断をする進め方もあります

 2021年7月、ポートライナーなどを運行する新神戸交通が50代の係長級男性社員をセクハラで処分。勤務時間中に職場で女性社員の頭や髪をなで、肩にふれました。

 目撃した別の職員が総務部に通報、社内調査の結果、被害に遭った女性社員は過去にも2度同じ男性社員に肩や背中、尻を触られていたことも判明。計3回のハラスメント行為を認定し、男性社員を出勤停止3日間の懲罰処分にすると発表。管理監督責任を問い、男性社員の元上司ら3人も口頭厳重注意などに処しました。

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