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職場の「ハラスメント調査」は本当に信頼できる?理化学研究所で悪質な事例も

ビジネス

協力できない事情として考えられるのは…

ブラック企業

「協力したくない」「協力できない」事情としては例えば以下のようなパターンが考えられます。

◆ 過去にハラスメント調査の証言をしたら、何らかの不利益な取り扱いがあった
◆ 過去にハラスメント事案があった際、退職者が不審に相次いだ
◆ ハラスメント調査担当者と行為者の仲が親密なため、証言した守秘義務が守られるか不安、または過去に守られないことがあった
◆ ハラスメント事案の当事者とほとんど接点がない。あるいは当事者のことを知らないのになぜか自分も聞き取り対象者に入っている

 会社には従業員への安全配慮義務がありますので、調査に協力することで安全が脅かされる状況を理解してもらえれば、協力しなくても良い方向に繋がりやすいと思います。

調査報告書には証言した人の実名が入る?

 調査報告書では原則、誰がどの質問に対して、どのような証言をしたかの実名が伏せられることで証言者のプライバシーは守られます。

 例えば「社員A」「社員B」「乙1」「乙2」などと表記されて特定されないように記載します。しかし、ハラスメント事案の対応に慣れていない企業は調査報告書に証言者の実名が入っているケースも存在します。心配な場合は事前に調査担当者に確認してから調査に協力するのが良いでしょう。

 あなたの証言が被害者を救うこともあります。ハラスメント調査では録音など確かな証拠がない場合、当事者同士が「言った、言わない」になる事も少なくありません。その際は特に関係者や目撃者の証言が懲戒処分の有無を左右する貴重な判断材料になります。

 現在、職場の身近なところでハラスメントが起きている人や、身近なところでハラスメントが起きていない人も、調査が行われた時はどのように対応すべきか。本記事がそれを考えるきっかけにしてほしいと思います。

<TEXT/ハラスメント専門家 村嵜 要>

1983年、大阪府出身。ハラスメント専門家。会社員時代にパワハラを受けた経験があり、パワハラ撲滅を目指して2019年2月に「日本ハラスメント協会」を設立。年間50社からパワハラ加害者(行為者)研修の依頼を受け、パワハラ加害者50人を更生に導く。
Twitter:@murasaki_kaname

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