職場で「さみしさ」を感じたときの対処法。現役和尚が説く
中途採用で「居場所」を失う人の特徴
また、中途採用や異動で、新しい職場や部署に移った人の中で多いのが、新しい環境に「過去」を持ち込んでしまうこと。同じ会社の中でも、それぞれの部署には、違った文化やルールがあったりします。それを無視して、過去流や自分流を持ち込もうとしたり、新しい部署の仲間や仕事ぶりを批判したりしてしまっては、居場所を失ってしまいます。
もちろん、新たに異動してきた人から、新たな技術や知識、より効率的な仕組みや文化が持ち込まれることもあり、それを期待されて人事が行われることもあります。しかし、「郷にいれば郷にしたがえ」という先人の知恵の通り、どんなに優れた人であっても、いきなり異動先に新しい風を吹かせようとすれば、必ずといっていいほど、抵抗や反発を生んでしまうのです。
もしあなたに実力と自信と確信があるのであれば、焦る必要はありません。異動先の人々や文化を尊重しながら、謙虚に、淡々と、自分のなすべきことを実行し続けるのです。
水が高いところから低いところへ流れるように、技術、知識、文化も、高いところから低いところへ、自然と流れてゆきます。仏教に、雲水という言葉があります。雲は形にこだわりません。風が吹けば形を変え、それでいて、悠々と、堂々と大空を流れゆきます。水は、流れ行く先々の形に合わせて、柔軟に姿を変えながら、その流れゆく先を清め、潤します。
異動先にあって、「さみしさ」を感じたならば、ぜひ、雲水の如きあり方を心がけてみて下さい。きっと、自分の居場所を作ることができるようになります。
もし、集団の中でいじめにあった時は
「2:8の法則」と呼ばれる法則があります。ビジネスマンなら聞いたことがあるかもしれません。イタリアのヴィルフレド・パレートという経済学者が、さまざまな国の国民所得配分について調査し、「人口の20%が、富の80%を所有している」ことを発見したことから、パレートの法則とも呼ばれています。
興味深いことに、この調査結果と同じように、ほとんどの現象には、2:8程度でばらつきがあるというのです。「新規顧客の8割は、2割の営業が開拓している」といったビジネス上の現象から、「普段着用している服の8割は、着やすいお気に入りの2割で着こなしている」といった、日常生活における現象まで、多くの現象に、このパレートの法則を見出すことができます。
実際、私も、自分のことを振り返ってみると、服も、下着も、カバンも、衣装部屋に所有しているもののうち、2割程度しか使っていません。もし、集団の中でいじめにであったときは、ぜひ、このパレートの法則を思い出して下さい。
「いじめ」の渦中にあって、みんなが敵に思えたとしても、実際に「いじめ」を主導している人物は、1~2割。その他8割は、あなたのことを、いじめたいわけではありません。ごく一部の主導者からのプレッシャーや、勢いに押されて、何となくその雰囲気に加担しているだけです。