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なぜ職場のセクハラは後をたたない?先輩社員が知るべき「セクハラ予防策」

学び

先輩が覚えておきたい「セクハラ予防策」

 次は先輩が自分の身を守る「セクハラ対策」を見ていきましょう。

 新卒社員のほうからプライベートの話を出してきたときは、会話をフォローする程度の感覚で対応しましょう(直接の会話、メール、LINEも同様)。プライベートの話を一切してはいけないのではなく、あくまで対策の1つですので、新卒社員の性格に合わせてプライベートの話をするのは問題ありません。プライベートの話をしなければならない、という空気感は出さないように気をつけましょう。

 ただし、新卒社員のほうからあまりにも度が過ぎる私的な話や性的な会話を持ちかけられた場合で、先輩の就業環境が害されるようであれば、それは「逆セクハラ」となります。会話に乗らず先輩の立場のあなたであっても、上司やハラスメント相談窓口に相談して対処することが必要です。

 他にもセクハラと呼ばれないために気をつけるべきポイントがあります。

【先輩が気をつけるべきポイント】
「できるだけ新卒社員と1対1の場面をつくらない」
「密室で新卒社員の方と長時間話をしない」
「先輩のあなたの方から新卒社員に私的、性的な話題を持ち出さない」
「新卒社員の個性を見極めて、臨機応変に会話の量を調整した対応をする」
「常に会話は録音されている」「メール、LINEの内容はスクリーンショットで撮られている」という危機意識を持つ

この新卒社員は私的な、性的な話も大丈夫?

セクハラ

 この新卒社員は私的な話や性的な話も大丈夫と理解して、どんどんエスカレートとしていくことはセクハラになる典型的なパターンのため、注意が必要です

 セクハラに限らずパワハラや、ハラスメント全般に言えることですが、職場はそもそも好きな友達同士が集まっているコミュニティではありません。少しドライな対応に感じるかも知れませんが、全体バランスを考えた時、そのような側面も必要な時代になっているのです。

 愛想が良く、たくさん笑ってくれる新卒社員がいても勘違いしないように気をつけましょう。必要以上に新卒社員の機嫌をうかがう必要はないですが、教育や指導をするときは丁寧な言葉遣いを心がけることが大切です。

 新卒社員それぞれの個性に耳を傾け、先輩としてどのようにすればセクハラを防止しながら、彼らが活躍できる職場環境を与えていけるか。本記事がそれを考えるきっかけにしてほしいと思います。

<TEXT/日本ハラスメント協会代表理事 村嵜 要>

1983年、大阪府出身。ハラスメント専門家。会社員時代にパワハラを受けた経験があり、パワハラ撲滅を目指して2019年2月に「日本ハラスメント協会」を設立。年間50社からパワハラ加害者(行為者)研修の依頼を受け、パワハラ加害者50人を更生に導く。
Twitter:@murasaki_kaname

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