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会社員が独立したら税金が増える?起業志願の20代に“お金のプロ”の回答は

コラム

個人事業主は所得税をまとめて支払う

税金

 勤め人の時は給料から税金が天引きされる「源泉徴収制度」が適用されています。それが、個人事業になると、申告納税制度といって確定申告を通じて、1年分の所得税をまとめて後払いする制度に変わります。そのため、所得税や住民税を毎月分割で支払っているときよりも、税金が増えたように感じる可能性があります。

 また、所得税が天引きされない場合、手取りが増えたように錯覚することもあり得ます。確定申告をして初めて、税金の多さに驚いたり、住民税の支払いが届くことになり、税金が高いと感じるようになります。

 個人事業主の場合は、個人の税率が高いから法人にして節税する流れが一般的で、これを「法人成り(ほうじんなり)」といいます。ですから、通常は税金を減らすための工夫として独立したり、法人を作ったりするわけです。

 今回のご友人がどのような場面で税金が高いと思ったかわかりませんが、もしかすると納税の仕組みが給与所得から、事業所得に変わったことを知らなかった可能性があります。独立すると税金が少なくなるよう、経費を使っていくことが多いので、かなり利益が上がらないと税金が増えることにはつながらないのです。一度、税金が多いと感じると、税金を減らす方向に力を入れる人が多い印象です。

税に対してアンテナが立つようになった?

 税金が多いということが、消費税のことを指しているのだとすると、売上がそれなりに増えてからの悩みとなります。税金が増えるということは売上や利益も増えているということであり、歓迎すべきことと考えます。

 フリーランスになり、今までの仕事を外注価格で受けるようになると、会社員時代の給料より売上は上がるかもしれません。しかし、個人事業の場合は売上から経費と税金を払ったあとで給料に相当するお金が残ります。会社員時代は気にもならなかった税金が高いと感じるようになったのは、税金に意識が向くようになったことの現れかもしれません。税に対してアンテナが立つようになったということでプラスに捉えるといいでしょう。

 余談ですが、独立すると税金を減らすために不要不急の経費を増やし、税金を減らす人が多いです。しかし、経費を過剰に計上すると実質的な収入である所得を減らすことに繋がります。所得が減ると住宅ローンが借りづらく、あるいは借りられなくなります。独立前に家を買うというのは、1つの戦略です。しかし、売上が立たなくてはせっかくのマイホームを売却することにつながりますので、独立後に売上が立つのか確認が必要でしょう。

 なお、個人事業主が所得税を減らす方法としては、青色申告の届出を済ませかつ経理書類を整えることで青色申告特別控除という節税枠を使うことができます。また、家族に仕事を手伝ってもらい給料を支払えば、青色事業専従者給与という経費枠が与えられ、節税効果があります。

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