モンスター親に苦しむ20代教師の嘆き「深夜に身勝手な電話がかかってきて」
教員という仕事は、子どもたちと青春時代を共に過ごせるやりがいのある職業ではありますが、年々人気が低下傾向にあります。
文部科学省が2020年に実施した公立小学校の教員採用試験の倍率は、2.7倍と過去もっとも低い倍率でした。中学と高校の倍率も前年度から低下しており、教育の質の低下という観点では大きな問題でしょう。
倍率低下の原因として、労働環境の悪さがあります。教員の多くは、長時間労働によるストレスに加え、近年増加するモンスターペアレントへの対応にも頭を悩ませているようです。
ご存知の通り、モンスターペアレントとは、「学校や教員に大して自己中心的で高圧的に理不尽な要求をする親」を意味しています。今回は、“モンペ”の対応に苦慮する現役教員の経験談を紹介していきます。
深夜11時に保護者からの電話
中部地方の公立中学校で3年生を担任する山口真也さん(仮名・27歳)には、日々クレームまがいの連絡が絶えないといいます。
「最近あった話だと、深夜11時に、『先生、うちの子が急に家を飛び出して行ってしまい、どこに行ったかわからないんです。一緒に探してもらえませんか』と、クラスの生徒の保護者から連絡が来たんです」
他の職業と同じように、教員にも労働時間が決められていますが、公立の教員は給特法により残業代は一律基本給の4%と定められています。それ以上は、どれだけ残業しても、サービス残業となります。
ところが、教員はいつでも対応してくれるものと考えている保護者が多いのも事実。学校内でのトラブルや進路に関する話などは勤務時間外での対応にならざるえません。
生徒の人生がより良くなることを願っているが…
「その時は『部活動の大会で県外へ出ておりまして、残念ながら探すお手伝いはできません……』と、正直に伝えました。家出の原因は、中学卒業後の進路についての親子喧嘩だったようです。
我が子を大切に思うあまりの行動であることは重々承知していますし、もちろん教員自身も関わる生徒の人生がより良くなることを願って仕事をしています。しかし、深夜にかかってくる配慮のない電話にまで対応しなければいけないのは、なかなかしんどいものがあります……」
結局、その生徒は電話から程なくして家に帰宅したとか。「たまたまの出張が幸いして、探しに行くハメにならなくて本当によかった」と心から思ったそうです。