徳井・小沢とシェアハウスで暮らした放送作家の気づき「自分がすごいと思う人と住むべき」
若手芸人は圧倒的に“カメラ慣れ”している
――現在、桝本さんがオススメする芸人さんはいますか?
桝本:これまでは大阪勢が強かったんですが、これから教え子世代の東京勢がどんどん出てくるかと。まだあまりテレビに出ていないクラスだと、令和ロマン、ナイチンゲールダンス、ゴヤ、ボニータなど首席卒業コンビには頑張ってもらいたいですね。なにより、YouTubeなどの動画サイトが普及しているから、圧倒的にカメラ慣れしていて、“世間との繋がり方”をわかっている。
よく若い芸人さんたちには「“株式会社 自分”と思わないと今の時代損だよ」と言っています。Instagramはビジュアルを売る、Twitterは宣伝する、テレビに出る時は自分たちの「王道ネタ」を見せる。可処分時間を奪う娯楽がさまざまあるわけですから、それぞれ使い分けをすることで、国民への浸透率が変わってきます。EXIT、ニューヨークなどは特にそれが上手い。
「いまの芸人は面白くない」という人もいますが、それはナンセンスです。発想は柔軟だし、言語センスもある。“過激さ”は減ったかもしれないけど、誰よりもNSC講師の私が面白いと感じています。なるべく、卒業までの時間まで“お笑いへの意欲”の火を消さないよう、まきをくべる意識で接するつもりです。
コロナで助けてくれたのはやはり親友たち
――第1作目が発売されてまだ間もないですが、今後描いている青写真はありますか。
桝本:最初の『三人』は完全に自叙伝みたいなもので、徳井くんからは「お前の血しぶきが見えるようやな」と言われたぐらいさらけ出しました。だから次は“芸人にまつわること以外”を書ければなとは思います。
ただ、まずはこの本を届けないと次の打席がない。コロナでどんどんリアル書店が閉店したから、宣伝に動くっていうことが全然できていなくて……徳井・小沢くんにはTwitterでつぶやいてもらったり、ここでまた親友の存在のありがたみを感じているところです。
2人とも芸人としては先にどんどん進んで、“重り”のようになっていた時期がありましたが、作家になってからは“浮き輪”のように助けてくれる。今度は僕が支えられるところは協力してあげたいって心から思いますね。
<取材・文/東田俊介>
【桝本壮志】
1975年広島県生まれ。放送作家、コラムニスト、小説家。吉本総合芸能学院(NSC)大阪校13期生で、同期芸人にブラックマヨネーズ、チュートリアル(徳井義実)、野生爆弾など。芸人を引退後、吉本興業が運営する渋谷公園通り劇場の作家となり、のち放送作家デビュー。『ぐるぐるナインティナイン』『今夜くらべてみました』『ナニコレ珍百景』などを手掛ける2020年12月17日、初の本格小説『三人』を上梓
Twitter:@SOUSHIHIROSHO