新人向けマナー研修はカスだった「新入社員は一番早く出社すべきって、なんで?」
“負のループ”が生まれる理由かも
その業界に即した話や効率よく仕事を進めるスキルやノウハウについてではなく、型にはまった新入社員像を説明されされ続けたビジネスマナー研修。
話を聞いていくうちに佐々木さんは、このマナー講師が「こういう謙虚で真面目さのある新入社員なら可愛がりたい」という理想の新入社員像をただ説明しているだけのように感じていきます。
「この研修を真に受けると、新入社員が2年目以降になって、次の年に入社する新入社員に同じことを押し付ける気がします。こうやって価値観がアップデートされずに“負のループ”が生まれていくんだな、としみじみ感じてしまいましたね」
数週間や1か月といった研修期間を設けている会社もありますが、佐々木さんの会社では研修はたった1日だけ、約5時間の座学で終わったそう。しかし、この“1日”というのも、余計に厄介だと感じています。
意味のない慣習だけれども…
「たった1日だけなので、研修を受ける側はたとえどんなに無駄な内容でも我慢できちゃいますよね。人事からは、こうしたマナー講師によるビジネスマナー研修はかなり前から続いている“慣習のようなもの”だと聞きました。1日で終わるからこそ、『次世代のためになくそう』『内容を見直そう』という強いエネルギーが内部から起きにくいのかもしれません」
入社してしばらくしてから、会社全体が別に意味のない研修だとわかっていることが判明します。後日、先輩に研修の内容を伝えたところ、「あの内容とは別に関係のない部署だから、あまり気にしないで」と励ましを受けたのだとか。先輩や上司に質問したことで、なおさら研修を受けた意味がわからなくなった佐々木さんでした。
一方で電話対応の仕方については「私の仕事では実際に必要なマナーだったので、研修の中で唯一役立った」と思ったそうです。他にも、丁寧語と尊敬語と謙譲語の違いなどの話は「営業の方など外部とやり取りをすることが多い業種だとすごく有益な内容だと感じました」と振り返ります。