「あと1年でとどめを刺す」コウテイ九条ジョーが語る、初の映画出演で変わった心境
あと1年でとどめを刺す
――迷ったり、腐ったりした時期はありますか?
九条:仕事がなくて、バイトだけしていた時期なんかは、本当に自分たちが面白いのかどうか分からないときがありました。でもそうしたときにとろサーモンさんとか、笑い飯さんとか、千鳥さんとか、いろんな先輩方が「お前たちは面白いから絶対に大丈夫だ」と言ってくれたんです。
お笑いって正解がないので、めちゃくちゃ不安になるときもあります。売れてないときは、世間から否定され続けているような状態ですし。でも先輩たちの「大丈夫」のひと言で、なんとか続けてこられました。今は確たる自信があります。
――ダウンタウンの松本人志さんもコウテイは面白いと言ってましたね。
九条:すごく嬉しかったです。日本で一番面白い方がつぶやいてくれた。顔も知らない人に叩かれたりしますけど、いやいや僕のほうが面白いからと。そうした声は、もう見ないようにしています。
――先ほどの賞レースの話でいくと、売れていなかった時期と、今とでは別の焦りを感じているのでしょうか。
九条:はい。ちょうどこの映画の撮影前後でだいぶ変わったと思います。今ちょうど大きな渦になっている若手芸人たちの動きがあるので、そこに流れてしまわないように。あと1、2年でとどめを刺さないと。ピリピリとした焦りを感じています。
子どもの頃、いい職業だなと
――映画のなかで、鈴木福さん演じる役のアパートに「30歳まではリハーサル」と書かれていました。
九条:あれ、いい言葉ですよね!
――ただ励みになる場合と、その言葉を逃げにしている人もいるかと。
九条:リハーサルを本気でやっている人のほうが、本番をめっちゃしっかりできると思うんです。僕は学生時代、本当に伴くんのような扱いだったので、部活に打ち込むでもありませんでした。お笑いをひたすらできている今、やっといい青春を送れています。僕もリハーサルを本気でやりたい。いまははただひたすら駆け抜けていきたいです。
――そもそもお笑いに目覚めたきっかけを教えてください。
九条:実家が貧乏で、おかずもなく白米だけ食べていたようなときに、テレビで笑い飯さんと千鳥さんの漫才を見たんです。すごく面白くてご飯が楽しくなりました。いい職業だな、滋賀県の田舎にまで届けられるっていいなって。それで僕もこれをやっていきたいと思いました。
――笑えれば白米だけでも美味しくなるというのは分かる気がします。今、出られる側になって、ファンの方から同じような反応をもらうことはありますか?
九条:「仕事を辞めたけど、テレビでたまたまコウテイを見て元気になった」といったお手紙を、ちょろちょろいただけるようになりました。僕はただ自分を証明したい気持ちでやっていたのが、知らぬ間に周りの人を元気にできていたのなら、すごく嬉しい。まだまだ足りないですけど。本当に嬉しいです。手紙も何度も読み返してます。