楽天と日本郵政が提携した苦しい舞台裏。ユーザーにメリットはあるか
楽天への出資によって何が変わるのか
そうやって物事は着実に進むようになります。今回の楽天と日本郵政の場合もそうです。1500億円もの出資をしているため、具体的な変化を伴わなければ意味がありません。両社にとってのメリットは以下の通りです。
【日本郵政】
・ゆうパックの取扱量が増える
・アプリなど金融領域での連携ができる
・郵便局で楽天の携帯電話が販売でき、手数料に期待できる
【楽天】
・楽天モバイルの販売拠点が全国に広がり、販売数が拡大する
・ECの物流システムが整理され、サービスが強化できる
・日本郵政の合理化に向けたシステム開発などのDX案件が獲得できる
消費者にとってのメリットとは?
楽天は配送を出店業者に任せてきました。その一方で、アマゾンは自社配送網を整備しており、それが配送サービス力向上につながっていました。楽天と郵政との連携によって、消費者は即日配達などのサービス向上に期待ができます。
日本郵政は、ハガキ文化が廃れてジリ貧になる郵便事業には期待ができません。いち早く宅配便で稼げる体制が必要です。流通総額4.7兆円の楽天は、それにうってつけの相手でした。
楽天の携帯電話事業においても、郵便局という販売代理店がいることで店舗の出店費用を抑え、全国展開できます。それによって販売数の増加に期待できます。
ただし、明るい未来ばかりではありません。そもそも楽天の携帯電話事業は、他社が格安プランを投入したことで、軌道にのるとは限りません。日本郵政は巨額の資金を投じ、豪物流大手トールとの失敗もあることから、今回の資本提携も「またダメでした、てへぺろ」というわけには絶対にいかないのです。今後の楽天の携帯電話事業の業績から目が離せません。
<TEXT/中小企業コンサルタント フジモトヨシミチ>