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楽天と日本郵政が提携した苦しい舞台裏。ユーザーにメリットはあるか

ビジネス

日本郵政が楽天を救済した?

 楽天は2020年12月期で自己資本比率が8.0%から5.0%まで3ポイント低下。自己資本比率は一般的に10%以下になってしまうと危険水域と言われ、楽天は財政的に苦しい状況へと追い込まれました。

 楽天と日本郵政の資本業務提携では、日本郵政の出資比率が8.32%にとどまっています。楽天の主要株主となり、経営方針に一定の関与ができる10%を超えていません。日本郵政の出資は楽天の経営に関与したいというよりも、自己資本比率が低下して苦しくなった楽天の救済という意味合いが色濃く出ています。これがポイントです。

 ここで日本郵政の株主に注目してみましょう。56.88%にものぼる25億5900万株を保有している筆頭株主は財務大臣。つまりは日本政府です。今回の出資は、日本政府が郵政を通して楽天に資金を投じたとも見ることができます

「いろいろあるけど、頑張れよ」と言ったかどうかはわかりませんが、ここまでの流れがわかると胸アツな展開です。

トール買収で大失敗していた日本郵政

楽天

記者会見に臨む、楽天の三木谷浩史社長(左)と日本郵政の増田寛也社長

 もちろん、日本郵政は各事業を強化する必要があり、楽天への出資がその布石となる経営戦略面も見逃せません。郵政の2020年3月期の売上高は前期比6.5%減の11兆9501億8500万円。2019年3月期も売上は前期比1.1%減少していました。じりじりと売上が減少しているのです

 2021年3月期はさらに4.9%減少する見込みです。これは主に郵便事業が縮小していることに起因します。

 日本郵政は2015年に上場する際、売上が先細りすることは見越していました。そのため、2015年2月にオーストラリアの物流大手トール・ホールディングスを6200億円で買収したのです。これが大失敗。

 2016年に、トールの「のれん」の減損損失4003億円を一括計上しました。この失敗は、政府関係者や投資家から大バッシングを受けることとなりました。巻き返しを図りたい日本郵政が、ITの先進企業へと出資することで、次のステップに移行する姿勢が印象づけられます。

 資本業務提携とは、会社が出資をすることによって業務提携の内容を強固にすることをいいます。通常の業務提携の場合、名ばかりで終わることが少なくありません。提携であれば放置しておいても何も言われませんが、お金が絡むと怖い上司から「おい、あの件どうなった?」と突っつかれるわけです。

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