3年以内の離職率は99%…26歳OLが過ごした超ブラック企業での日々
泥仕合の最中に感じた異常性
仲間が居たから頑張れたという理沙さん。しかし、横の繋がりは時に足枷となってしまうこともあります。異常な労働環境に適応した社員たちの存在が、後に理沙さんを苦しめることになっていくのです……。
理沙さんと同時期に入社した中途採用者は5名。全員が社長からのパワハラ・モラハラに耐え、理不尽な業務をこなしていましたが、ついに、1人、2人と退職者が現れ出したのです。
「入社時には聞かされていませんでしたが、会社の3年以内離職率は99%。つまり1人の先輩を除いては皆辞めてく会社でした。私が入社して3か月が経ったころ、共に飲食事業チームで頑張っていた先輩が辞めました。そしてその2か月後に、オーバーワークで倒れた同期が退職しました。飲食事業チームは空中分解となり恐ろしかったですが、それ以上に不安だったのは会社の在り方です……」
退職を申し出た2人の同僚は、退職を申し出た日から最終出社日までの1か月、社内で無視されていたと言います。さらに、関係各所へ退職の挨拶をすることも許されず、取引先には社長自ら理由をでっちあげ、「解雇した」と触れ回られる次第。
同行した席でそれを目の当たりにした理沙さんは、社長にも、それに疑問を抱かないほど麻痺した同僚たちにも不信感を募らせ、退職を決意しました。しかし、ここから泥仕合が始まったのです……。
配達証明郵便で退職届を提出
「短期間での退職が続いていたので、会社側も必死になっていたようで……。私の退職願いは聞き入れてもらえないところから始まりました。疲れているんだと強制的に2週間休まされたあと、もう一度“退職の伺い”を立てたところ、休むだけ休んで無責任だと罵倒された上で、『無責任な退職は認めない。場合によっては会社に損害を与えたとして法的措置をとる』といった内容のメールを全社向けのアドレスで流されました」
会社側の陰湿な対応に精神的にも追い込まれた理沙さんは、配達証明郵便で退職届を提出するという手段を用いました。「法律で定められていようが弊社では認めない」と突っぱねられたそうですが、労働基準監督署を間に挟んだことにより何とか退職に至り、今は実家で療養中だと言います。
「今は催眠が解けたような気分です。なんていうか、あの会社に居た時は、とにかく自分がダメだと思っていて、辞めてもどうにもならないっていう強迫観念がありました。でも、そんなわけないですよね(笑)」
笑顔を取り戻した理沙さんのように、仕事でどん底の時には自分を卑下し、努力でカバーしようと頑張り過ぎてしまうこともあります。しかし、環境によってもたらされるどん底もあるもの。皆さんもくれぐれも無理しすぎぬよう、客観的な視点は持ち続けてくださいね。
<TEXT/七里美波 イラスト/パウロタスク(@paultaskart)>