コロナ禍でも増益の「ヤマダ電機」強気な出店攻勢の背景
有価証券報告書などからみえる現場
では、現場の雰囲気や働きやすさはどうでしょうか。今回は有価証券報告書・公式サイトの情報・各種判例などからその姿に迫っていければと思います。
まず、2020年3月期の有価証券報告書を確認しました。平均年収は445万円です。ヤマダ電機の場合は、2020年3月期時点では「提出会社=ヤマダ電機」であり、従業員数も連結1万9985人・提出会社1万539人であり、公表されている平均年収を「ヤマダ電機」事業の平均年収と判断してよいです。
令和元年の「民間給与実態統計調査」によると、給与所得者全体の平均年収は436万円となっており、「日本の平均並み」と判断できます。その他、正社員の女性比率・女性管理職人数・育児休業取得者数のグラフが公開されています。2020年3月期時点の値においては、
■ 正社員の女性比率:12.4%=2,487名÷19,985名
■ 女性管理職比率:3.2%=154名÷4,812名
■ 育児休業取得者比率(正社員における):1.2%=243名÷19,985名
となっており、直近期であるほど数値は改善されているものの、日本における正社員・正職員に占める女性の比率が25.7%で、係長相当職以上の女性比率が13.7%(いずれも令和元年度雇用均等基本調査 より)であることを鑑みると、依然として改善が必要な状況でした。
ヤマダ電機の過去の判例
続いて、主だった判例を見ていきます。ヤマダ電機の場合、幹部社員が退職翌日に同業他社に転職したことで元従業員が競業禁止行為に抵触するため、会社が違約金を請求した件についての判決が2007年にありました。
この場合、該当する従業員が店長も務めており、理事にも任じられていたことから、競業避止義務を貸すことに合理性があると認められ、従業員側に違約金の一部支払いを命じています。
過剰な競業避止義務は判例でも無効とされるケースがありますが、今回のヤマダ電機のケースのように、その社員の立場によっては「合理的」とみなされる点があるので、総合的な判断が求められるでしょう。