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コロナでラーメン店の倒産は過去最多。飲食店主たちの悲鳴

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 緊急事態宣言で時短営業が続くなか、客が来なくて頭を抱える店と、月180万円の協力金で潤う店で格差は広がった。もはや壊滅状態と言われる業界の明日はどっちだ

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なんでんかんでん社長・川原浩史氏/なんでんかんでんフーズ代表取締役。’80年代、環七沿いに「なんでんかんでん」本店をオープン。バブル期の東京に「博多ラーメンブーム」を広めた。現在は渋谷「肉横丁」にて経営中。タレントとしても活躍

老舗ラーメン店の数々が窮地に…

「2020年の1月から渋谷『肉横丁』に店舗をオープン後、コロナ騒ぎで2月以降の売り上げは50~10%以下に減りました。海外での店舗展開も中止になりました。解除後も、再オープンはしばらく様子を見ます」

 バブル期に一世を風靡した「なんでんかんでん」社長の川原浩史氏が嘆きの声を上げるのも頷ける。2020年一年間で倒産したラーメン店の数が46店(帝国データバンク)と、過去最多を更新。全国に名を轟かす有名チェーン店や老舗が次々と姿を消しているのだ。

「『スガキヤ』(本社:愛知県中区)などのチェーン店は客が対面になるテーブル席が多く、感染リスクが高いと敬遠されがち。それが店舗減の原因のひとつです」

 こう語るのは、年間700杯以上のラーメンを食べ歩く“ラーメン官僚”ことラーメン評論家田中一明氏。では、老舗と呼ばれる名店の数々が窮地に立たされてしまったのはなぜか。

「コロナで資金繰りが厳しかった店もあるが、その限りではない。例えば行列店の老舗『まる玉』の両国本店は、2020年の休業要請中に休業したまま閉店。コロナで気持ちが折れてしまったのでしょう。また、老舗店は店主がご高齢で、先の見えない2度目の緊急事態宣言を機に『そろそろ頃合いか?』という感覚で閉めるパターンもあります

新しい販路を開拓するチャンス

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「天下一品」は中野店限定で「手軽にこってりスープ」(税込み150円)を販売。人気の鶏がらベースのスープに刻みチャーシューと刻みネギを入れて提供している

 その一方で、新しい戦略を打ち出し、巻き返しを図るラーメン店も。大手チェーン「天下一品」常務の出路正弘氏は「中野店限定で『こってりスープ』の店頭販売を開始。これがTwitterで話題となり、遠方からも“天一ファン”が訪れるようになりました」と喜びの声を上げる。

 また、人気店「AFURI」では、テイクアウト・デリバリーを展開するほか、郊外店では「家族メニュー」「お子さまメニュー」を追加。ターゲットを広げることで集客を図っている。

「チャーシューのテイクアウトやネット通販用のオリジナルメニューなど、ラーメン業界は今、新しい販路を開拓するチャンス」

 前出の田中氏がこうラーメン店の未来に期待を寄せるように、試行錯誤している店の中には、連日行列が絶えない繁盛店も出始めている。

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