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亀田の柿の種、新黄金バランスで目指した「脱・親父のおつまみ」

ビジネス

 新型コロナ感染予防で、宅飲みやオンライン飲み会をする機会が増えた。好きなお酒とおつまみを用意し、画面越しで友人・知人と酒を酌み交わす「おうち時間」は、ちょっとした幸せな気分を味わえる瞬間だ。

亀田製菓

亀田製菓株式会社 経営企画部 コーポレートコミュニケーションチームの池ノ上 雄樹氏

 そんななか、お酒のおつまみとして国民的人気を誇るのが「亀田の柿の種」。今回は亀田製菓株式会社 経営企画部 コーポレートコミュニケーションチームの池ノ上 雄樹氏に、米菓トップブランドとして人気の理由や商品開発で工夫していることについて話を聞いた。

発売当初の配合比率は「7:3」だった

 亀田製菓は1966年、業界に先駆けてピーナッツ入りの柿の種を商品化した。発売当初の柿の種とピーナッツの比率は「7:3」(※本文中の比率は全て重量比)だったという。実は柿の種のピリッとした辛い味より、配合比率こそが重要なファクターだ。

「柿の種:ピーナッツの割合は最初『7:3』でしたが、いっとき『5:5』の比率で販売していた時期もありました。ピーナッツの価格が高騰した状況下、美味しいピーナッツを食べたいと思うお客様の声に応えようと、ピーナッツを増やしました。でも、思いのほか評判があまり良くなくて(笑)。すぐに見直して結局は『6:4』に落ち着いたんですね。

 これが40年以上続いた“黄金比率”で、パッケージやロゴを変えたり、商品のバリエーションを増やしたりしても、この比率がお客様に愛されるゆえんでした」

「親父のおつまみ」からの脱却

亀田製菓

6パック入りのポピュラーな「200g 亀田の柿の種 6袋詰」

 しかし、毎年のお客様調査の中で「食シーンが時代とともに変化してきている」と池ノ上氏は言う。

「それこそ昔は、“親父のおつまみ”みたいな印象を持たれていましたが、最近では女性の方がコーヒーのお供に食べたり、子供がおやつに召し上がったりと、ユーザーや食シーンの広がりが見えるようになりました。そこで、この40年以上続いた黄金比率が『本当に今のお客様にとって最適なのか』と疑問に思うようになったんです」

 2019年に「私、亀田を変えたいの。キャンペーン『当たり前を疑え! 国民投票』」を実施したところ、亀田の柿の種の比率変更に伴う意見がSNSで飛び交い、大きな話題を呼んだ。結果として投票総数は25万5,903票も集まり、老若男女さまざまな“亀田の柿の種ファン”が最適な比率について考えるきっかけになった。

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