オーナー経営者は本当に左うちわか?資産50億円超でも簡単に株は売れない
成果主義にならない限り、日本の働き方は変わらない
労働時間の短縮や格差是正などを掲げ、2019年から政府の肝いりで始まった働き方改革。実施から約1年。大手コンサルティングファーム・デトロイトトーマツの『働き方改革の実態調査』によれば、「働き方改革の効果を実感している」と答えた会社は53%に上った(2020年2月発表、回答277社)。
これに対して、「成果に応じて給料が払われる制度が整わない限りは、本質的な働き方改革は進まない」と語るのは、安藤氏だ。
「労働基準法では1日8時間、週40時間を労働時間として定め、労働時間に応じて給与が支払われるのが当たり前になっています。でも、その場合、成果を上げていない人であっても会社に長時間いるだけで給与が払われてしまう。これでは、成果を上げている人が報われません」
女性活躍やリモートワークには成果主義が必要
「果たして自分はついていけるのだろうか」と、成果主義の導入に不安を感じる人も多いだろう。だが、成果主義によって、いま日本企業が直面する課題が解決される部分も多いと安藤氏は続ける。
「各企業が女性活躍やリモートワークを推進していますが、これを浸透させるには成果主義を土台にする必要があります。なぜなら、女性は出産などによってキャリアを離脱しなければならないので、時間的評価を求めれば圧倒的に不利になります。これでは、女性幹部登用も進みません。また、上司の目が届かないリモートワークに至っては、従来のように働く場所や時間による評価はナンセンスです」
より成果を上げられる人ほど、高い評価や報酬を得る。日本企業の閉塞感を打開するためには、望むとも、望まざるにかかわらず、そんな時代がもう目前に迫っているのかもしれない。
【安藤広大】
組織マネジメント専門家。1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、NTTドコモに入社。転職を経て2015年に識学を設立。コンサルティング実績は1600社超。著書に『リーダーの仮面』
<取材・文/週刊SPA!編集部 図版/松崎芳則>