在宅勤務の新しい装い「テレウェア」は本当に快適か。プロがレビュー
オンからオフに切り替えてくれる存在
カジュアルブランドのサイズのみでは、横幅のサイズ感を上げたときに着丈・袖丈が長めに余りがちなので、このサイズバリエーションは嬉しいです。ジャケットのサイズ感は合計8パターンも細分化されているため、自分の体形に合わせたサイズをチョイスしやすいかもしれません。
一方、デニムライクなスラックスもサイズは9段階に分かれています。ご参考までに、身長172センチ・体重66キロの私は、ウエスト82センチのスラックスを、ジャケットはLサイズをピックアップしています。
P.S.FAの親会社である「はるやまホールディングス」の治山正史(はるやままさし)社長は著書で「テレウェアの定義は4種ある」と述べています。その中で私がいちばん共感したポイントは「スイッチウェア」という概念でした。
テレワークの生産性を大きく左右するポイントは仕事モードへの切り替えだと思います。職業柄、カジュアルな格好が多い私でさえも、緊急事態宣言が発令された4~5月に、家着のままパソコンに向かっても、一向に仕事がはかどらなかった苦い記憶があります。
オンからオフへ気持ちを切り替えるため服装、これこそがスイッチウェアの役割です。リラックスしながらもドレスライクという点において、この商品はまさにテレウェアとは何かを体現しているのではないでしょうか。
ちなみにジャケットの裏ポケットはジーンズのバックポケット型になっていました。普段は見えない部分にもこだわっているところもなかなか粋ですよね。
ディッキーズ「ジーンズ」は柔軟性に驚き
最後にカジュアルブランド「ディッキーズ」の別注商品ジーンズも試着してみました。
好みは分かれますが、通気性が良く、暑がりの人にはこちらのセットアップのほうが快適に過ごせるかもしれません。その場で軽くストレッチをして、柔軟性も兼ね備えていることもバッチリ確認。長時間の座り作業でも、スーツに「着られている違和感」はなさそうです。
両者に共通することは、その着用感とは裏腹に見た目の印象がスーツそのものなのです。ラクなセットアップはたくさんありますが、「きちんと、楽に」を体現しているのは、紳士服メーカー特有の型紙による成果だと思われます。
状況が読めない今だからこそ、「在宅用」の1着を持っていても損にはならないと思います。スウェットで仕事するよりもきっと捗るはずですよ。
<TEXT/服のコンサルタント 森井良行 取材協力/P.S.FA新宿東口店>