実働20時間で日当7500円のツアー添乗員。激務の末に待っていたのは…
新型コロナウイルスの感染拡大で、大打撃を受けた「インバウンド観光需要」ですが、2019年の旅行業界は、訪日外国人数は過去最高を記録し、マイナビ・日経が共同実施した大学生就職企業人気ランキングで、旅行代理店がトップ10に2社も入るなど好調でした。しかし、その好調さとは裏腹に、旅行業界で金銭的に苦しい思いをした人もいるようです。
激務にもかかわらず日当は7500円
ツアーの添乗員をしていた増田里英さん(仮名・29歳)は、「旅行業界で働くようになってから、お金に苦しむようになった」と言います。
「私は会計系の専門学校を卒業して、小さな機械メーカーで働いていたんですが、以前から旅行業界で働いてみたいと思っていたので、ネットで旅行の添乗員を募集しているのを見つけたので応募してみたんです。無事採用されたんですが、提示された条件はかなり厳しいものでした」
その待遇はアルバイトで日当は7500円だったそうです。
「7500円と聞くと、1日のバイト代と考えるとさほど悪くないように思えるかもしれませんが、友人に業務内容を説明するとだいたい引かれますね。『そんな給料でよくやってるね』って」
まず問題なのが、朝の早さなのだとか。
「旅行当日、添乗員はバス会社に直行するんですが、だいたい朝5時ごろです。それから、いくつものを集合場所を回ってお客さんをピックアップしていくことになります。全員揃った後は、バスガイドさんに進行をお任せするんですが、暇になるわけではなくて、お客さんにお茶を出したり、次の立ち寄り先に連絡したりとやらなければいけないことが色々とあるんです」
実働17時間。時給換算したら…
特に面倒なのが、次の立ち寄り先がお土産屋さんだった場合なのだとか。
「実はお土産屋さんにお客さんを連れて行くと、売り上げの何%かが旅行会社にマージンとして入ってくるんです。そのため、事前にバスの中で先方が指定する商品をPRしたり、試供品を配ったりする必要があるんです。これがかなりの手間なんです。ただ、私が勤務していた会社では、マージンが入ると言っても添乗員にその一部が入るわけではないので、やったことにして実際には面倒だからやらないという添乗員もいましたね」
そうして、ツアーを終えたバスが解散場所に到着するのは、夜の9時過ぎ。
「最後までお客さんを見送ると、10時過ぎになることもあります。ここまでで実働17時間、7500円の日当を時給に換算したら440円しかありません」