「富士そば」がガチャガチャに!「巨大な海老天」にはワケがある
丼にあしらったこだわりのロゴマーク
丼はプラスチック、そばはシリコン、つゆは合成樹脂で再現。パーツの着色や組み立ては職人が手作業で行う。J.ドリームにとっては富士そばの看板を預かるようなもの。本家のイメージをくずさないよう心をくだく。
「とくにこだわったのが丼にあしらわれたロゴマーク。富士山や桜の花を組み合わせた複雑なデザインを一センチに満たないサイズで表現しなければならず、高い技術が必要とされます。ロゴを印刷したシールを貼る案もありましたが、それだと見た目に少し難がある。試行錯誤を繰り返して、最終的にフラットな仕上がりのシルク印刷を採用しています。ロゴの雰囲気がぎりぎり把握できるまで簡略化しましたが、屋号もちゃんと読めますよ」
ラインナップのなかでとりわけ異彩を放つのが「ダブル海老天そば」だ。二尾の海老天は丼をはみ出すほどのビッグサイズで実物とは大きくかけ離れている。その理由とは?
「試作の段階では、丼におさまる普通のサイズだったんです。しかし、ご担当者から『もっと面白くしたい』との要望を受けて、いまの巨大な海老天にデザインを改めました。ちょっとやりすぎたかな……、とヒヤヒヤしましたが『これならファンも満足してくれる!』と納得いただけて。胸をなでおろしたのを覚えています。
我々はファンから『実物とちがう!』と指摘されることを一番恐れているんですが、まさかコラボ相手から大胆なアレンジを提案されるとは。独自路線を行く富士そばさんらしいエピソードだと思います」
富士そばのマシンには当り券入りのカプセルも
「名代 富士そば ますこっと」は約2万個が受注生産され、全国各地のホビーショップや雑貨店などのカプルセルトイマシンで販売される。フィギュアが富士そばとのファーストコンタクトになる地方在住の人も少なくないだろう。
富士そばの一部店舗にもカプセルトイマシンが設置された。そのうちの1軒、新宿店では独自の企画を打ち出しており、食品サンプルや丼などの“激レア流出品”がもらえる当たりカプセルをマシンに混入。さっそくファンサービスに活用している。
シリーズ第二弾の計画も浮上しており、今後はシリーズ化される可能性も考えられる。そうなると、フィギュア化困難な珍メニューを望むのがファン心理というもの。そのときこそ、J.ドリームの腕の見せどころだ。
<取材・文/富士そばライター 名嘉山直哉>