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ヴェネチア銀獅子賞の黒沢清監督「哀川翔さんが救いだった」不遇時代を語る

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いい若手がいると本気になる

黒沢清

――受賞後のご取材では、監督とともに脚本に名を連ねた、濱口竜介さん(『ハッピーアワー』『寝ても覚めても』)、野原位さん(『ハッピーアワー』脚本)のことも高く評価されていました。監督が、いま注目している若手監督はいますか?「すごい人が出てきたな」と思うか、それともメラメラと燃えるタイプですか?

黒沢:あんまり言いたくないんですけど、意外に本気になるほうです。子どもじみた反応をしてしまいますね。

 若手でそこそこ面白いものを撮ったりする人がでてくると、「いいねー、素晴らしいね」と言うんですけど、そこそこを超えて本当にすごいものを撮られると、「絶対に叩き潰してやる」というのは口が悪いですが、でも、対抗作を作らなきゃという気持ちにはなりますね。

――いまそうした存在は。

黒沢:どちらも教え子ですが、濱口と、あと真利子哲也(『ディストラクション・ベイビーズ』『宮本から君へ』)は際どいところにいますね。際どいというのは、今はまだ「良かったね、いいね」と言っているんですけど、あと1歩を越えられると、「叩き潰す!」となるかなと。それをさらに越えられたら、「あれを育てたのは僕だ」と自慢します(笑)。でもまだですね。まだまだ。

<取材・文・撮影/望月ふみ>

ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異
Twitter:@mochi_fumi

【公開情報】
スパイの妻<劇場版>』は新宿ピカデリーほか全国ロードショー
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