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持続化給付金の不正受給。なぜ10〜20代が詐欺に加担したのか

ビジネス

加算金は課せられないけど…

交番

 本来なら不正受給の返還は、給付金を受け取った日から換算して年3%の延滞金に、2割の加算金が課せられます。しかし不正受給者のあまりの多さに、経済産業省からは「調査を始める前にお金を返せば、2割の加算金はしない」としています。ただし、これは罪に問われないこととは別物です。あくまでも金銭的ペナルティが課されないということです。

 当然ですが、罪の意識があるならば、自首を勧めます。ただし、罪を犯した事実は消えませんので、今後、それと向き合って生き抜く覚悟が必要になります。軽い気持ちでお金を受け取った人もいるかもしれませんが、不正受給はそれほどに重いことなのです。

 ここでちょっと苦言を呈せば、不正受給が広がった背景には、行政側の問題もあります。先の警告メッセージを行ったのが8月頃からで、あまりに遅すぎます。本来、給付金が開始された5月の時点で「不正は絶対に許しません」「悪質な場合は刑事告発」と言う強いメッセージを出すべきでした。

自分の身を守るためには

 むろん、犯罪行為に手を染めた人たちを擁護するつもりはありませんが、簡易な手続きをするならば、一方で警告とという形で不正受給への強いブレーキをかけなければなりませんでした。そうしていれば、これだけ多くの人が犯罪に手を染めることはなかったと考えます。

 今、ネット上には儲かる方法などの情報が溢れています。これまでは、こうした情報を鵜呑みにすると、金銭的被害を受けるというのが一般的でした。しかしながら、今回のように、情報の内容しだいでは、結果犯罪に手を染めてしまうこともあるのです

 常に、情報は不正行為をさせるものではないかということを、一旦、自分の頭のなかで精査してから取り扱わなければなりません。その情報が信頼ある知人からであってもです。内容に疑問があれば、曖昧にせず、利害関係のない第三者に相談して、冷静な目で情報を見るようにしてください。パソコンの中にだけでなく、自分自身にも不正な情報を遮断するファイヤーウォールを構築しておくことが必要なのです

<TEXT/悪徳商法ジャーナリスト 多田文明>

詐欺・悪徳商法に詳しいジャーナリスト。これまでの勧誘先への潜入数は100か所以上。あらゆる詐欺・悪徳商法に精通している。多数のテレビ・ラジオに出演し、著書に『ついていったらこうなった』(彩図社)『だまされた!だましのプロの心理戦術を見抜く本』(方丈社)
Twitter:@tadabunmei

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