コロナ危機のアメリカ。加速する「人民元国際化」の現実味
世界ではドル離れの準備が進行中
現在、CIPSは特にアジア・欧州圏で加盟行が増加傾向にあり、96か国、980の参加金融機関を集めている(2020年6月末時点)。
「実は米中2つの国際決済システムに加えて、最近、ドイツ・フランス・イギリスが主導して進めているINSTEXという通貨決済システムも完成しました。そして、2020年3月31日、INSTEX初となるイランとの取引が行われました。
まさに、米国の金融制裁をかいくぐった事例になります。中国だけでなく、欧州や英国も独自の決済システムを構築するなど、世界はSWIFT離れ、言い換えればドル離れを起こす準備を着々と進めているともいえる状況なのです」
日本も世界多極化時代に備えるべき!
世界のリーダーであるアメリカ、そこに忍び寄る中国。この状況下において、日本はどうするべきなのか? 本当にいつまでも続くのか。最後に、その点を戸田氏に聞いた。
「日本は国家安全保障面で米国への依存が大きく、国内では米国に対する好意的な意見が多いのが特徴的です。しかし、世界を見渡してみると、米国のその独善的なやり方に懐疑的で、解決策として米国に依存しない方法を考えている国が多く、その中でも決済面において、具体的な解決策を構築したのが中国と欧州というわけです。
何事にも始まりがあれば、終わりもあります。世界が、米国の一極から、中国・欧州・ロシアを巻き込んで多極化していくなかで、いずれ米ドルの基軸性も失われていく可能性には十分に留意しておきたいところです。米国が覇権を握り続けるにせよ、中国が台頭するにせよ、日本そのものの力が失われていては、国際的な発言力は失われていく一方です」
世界で最もホットなテーマといえる米中対立。今後、長期にわたって続きそうな米中2大大国のせめぎ合いについて今後も注視する必要があるでしょう。
<取材/bizSPA!取材班>