手取り14万円の介護職、夢を見て上京するも…残ったのは130万円の借金
東京にさえ行けば、何か変わる。そう信じて上京する若者は、昔からたくさんいるでしょう。しかし、東京の生活は厳しいものです。物価は高く、頼れる人は誰もいない――そんな現実があるようです。
介護職の現状に嫌気がさし、上京
和田直人さん(仮名・29歳)は鹿児島県生まれ。地元で福祉関係の高校を卒業し、介護士として働いていたそうです。
「大学に行ったやつはほとんど地元には戻ってこないので、地元の友人はみな高卒か中卒。介護の資格を取った自分はまだいいほうで資格を持ってないヤツは工場で働くか、フリーターとして生きていくしかありません。
高校のうちに介護福祉士の資格を取ったので、ずっと老人ホームで介護職をしていました。手取りは16万円程度ですが、交通費込みなのと、施設が勝手に開催している勉強会や交流会のための月会費が1万円引かれるので、実質は14万円程度です」
幼い頃から父子家庭で、父親も「転職を繰り返してしまうタイプ」と話す和田さん。実家なので家賃はかかりませんが、生活費を親に頼れるという感じでもなく、車のローンもなかなか終わらないので、自由に使えるお金は本当に少しだけだったとか。
「何年勤続しても給料は全く上がりません。にもかかわらず、正社員は減っていって、パートのおばさんばかりが増えていくので、責任ばかりどんどん重くなります」
退屈な日々に刺激的な誘いが
「そして基本力仕事のため、若い人ほど重たい荷物の搬入などの雑用にもこき使われます。新人が入ってきても、3か月ともたずに辞めてしまうことがほとんどで、いつまでたっても自分が下っ端のままです」
田舎で恋人もできず、夜勤もある介護の仕事で休日を寝潰す日々を送っていたという和田さん。ある日、友人からの誘いで上京を決意したといいます。
「去年、高校の友人から『東京で起業しようと思うんだけど、お前もどう?』と誘いを受けました。田舎で刺激のない日々を送っていた僕には、あまりに魅力的な話でした。僕は二つ返事でオーケーして、介護の仕事を辞めて、東京で友人との二人暮らしを始めたんです」