三菱商事出身の新社長が斬り込んだ「カンロ 60年目のタブー」
タブーに切り込んだレシピ変更
また、自信を持ってキャンディを売れるものにするため、思い切った商品開発や商品刷新も行っている。
「新たなCIのもと、売上げ拡大戦略の一環として『素材を活かすこと』と、キャンディならではの『機能性』の2つを新たな商品開発の柱にしています。これに伴い、1955年に発売したロングセラー商品の『カンロ飴』を2018年、新CIに合わせたパッケージデザインにするとともにレシピも変更しました。カンロ飴は主力商品ではあったものの、時代に合わなくなってきていると感じていました。
そう思ってカンロ飴の商品刷新に取り組んだのですが、社内では『カンロの看板商品を、なぜ変える必要があるのか』『調味料(アミノ酸)を添加せずにうま味は出せないのでは』などの反対意見も出て、社員全員とコンセンサスを図るには随分と苦労しました」
添加物を使わず、何とかして砂糖や水飴、しょうゆ、食塩の 「素材」だけで美味しさを引き出せないかと試行錯誤し、研究開発に1年の月日を掛けたという。開発チームが苦労を重ねた結果の末、ようやくうま味調味料不使用のカンロ飴が完成したわけだ。
元祖のど飴も終売。機能性重視に
さらに、のど飴の元祖である「健康のど飴」を終売し、商品の見直しを図った。
「のど飴がたくさん市場に出回るようになり、お客様が効能感を求めるようになってきた。飴をなめた時に、“すっきり”や“じんわり”といった感覚を体感できるような『体感型のど飴』を開発し、健康のど飴を終売して『ドクタープラス』へと進化させました。添加物が少なく、機能性の高い商品として、時代のニーズに合ったキャンディの提案をしていきたいですね」
過去のヒット商品にとらわれることなく、常に市場のニーズに合わせて新しい商品を投下したり、リニューアルを図ったりする。市場の変化スピードが早い中、企業も柔軟にお客様が求める商品を提供していくのが大事になってくるだろう。