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「料理の鉄人」が最初のお客様。50代で“奇跡”の農家デビューした4代目

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――農業だけをやっていた期間で考えると、4年くらいなのですね。

森藤:ただ、役所で働いているときも土日祭日は親の畑仕事を手伝っていたので、かれこれ10年くらいでしょうか。両親も一緒にやっていたため、今ほどの時間は割けなかったですけどね。

もりとう農園

恵比寿マルシェでの販売を終え、販売道具を軽トラックに載せる森藤さん

――現在は、ご両親は引退されて、ご家族とともに農作業をされているのですね?

森藤:いまは僕と息子と娘と嫁さんにサポートしてもらって計4人ですね。3人兄弟で、長女は東京でアニメーター。長男と次女は東京の大学を出て、就職せずに帰ってきたけど、僕の会社で正社員として雇用しています。勤務時間でいうと9~17時だから、東京のサラリーマンとあんまり変わらないかもしれません(笑)。

――卸先を変えて以降、売上は上がったとのことですが、ほかに何か工夫していることはありますか?

森藤:両親から畑を継いで10年くらいたちますが、売上・利益ともに当時の3倍以上になっています。もちろん、両親の代に比べ、農地を増やしているので一概には比較できません。しかし、売上を高めるだけでなく、補助金や作業の仕組み化を進めて、経費として出ていくお金も効率化したので、利益面でもよくなっています。

もりとう農園

もりとう農園の農業風景

――具体的に、どんなことを変えたのですか?

森藤:最初に話したとおり、これまでの販売先だったJAや第二・第三農協をやめて、直接販売にしました。そのおかげで、これまでかかっていた卸先へのマージンを、商品の品質向上に投資できるようになりました。また、代々経験による感覚的に受け継がれてきた仕事を言語化、数値化しました。例えば、これまでは気温や天候でなんとなく季節が変わってきたから、このあたりに田植えしようかという仕事をやめました。

――やめてみてどうでしたか?

森藤:収穫量を計画的に算出したかったので、どこに何をどれだけ植えて進捗状況はどうなっているかをExcelで管理する方法に変えました。可視化してみると、感覚でやっていることばかりで、農作業に持続性と再現性がないことに気づきました。

 今はそこを少しずつ変えています。もちろん手間はかかりますが、この10年で結果も出ているので、徹底してやるしかありませんね。

もりとう農園

もりとう農園では、お米以外にもさまざまな農作物を育てている

――確かに、数値化することで改善できることはありそうですね。

森藤:もちろん両親がやっていたことが間違っているわけではなく、単純に時代の変化で、当時よいとされていたことが、今の時代と釣り合っていないのだと思います。販売ルートの開拓には最初は苦労しましたが、自分が作ったものを自分で営業して、直接顔を見ることができなかったお客さんに口にしてもらって「美味しい!」って、言ってもらえるのは何より嬉しいよね。

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