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不登校からYouTuber事務所社長に。僕を救った「スヌーピーの教え」

ビジネス

興味関心や生い立ちが人の才能を作る

――苦手の克服を求めないスタイルは、YouTuberのプロデュースにも活かされていますか?

森:もちろんです。プロデュースだけでなく、経営やマネジメントも根本的には同じだと思っています。たとえばの話ですが、社交性がなく、人とのコミュニケーションが苦手な社員がいたとします。

 しかし彼は、エンジニアリングの能力に非常に長けている。であれば、コミュニケーション力が高くないことを直す必要などなく、ひたすらエンジニアリングに集中してもらえる環境を作ってあげたほうがいいというのが僕の考え方です。

 なぜなら、採用した理由や、仕事を任せている理由は「エンジニアとしての技術力の高さ」からです。たとえ人とのコミュニケーションが苦手だととしても、それと引き換えに、エンジニアリングの能力を手にしているのだと思っています。だから、コミュニケーション力がないことだけを批判してはいけない。

 興味・関心や生い立ち、口癖や思考の癖が人の才能をつくっているので、その前提を無視して、あれもこれもと頼るのはお門違いなんです。

得意に生きることこそ、戦略的なキャリア

森泰輝

――「周囲にできることが、自分にはできない」と悩んでしまう人も少なくないと思います。どのようにして、気持ちを切り替えたらいいのでしょうか。

森:繰り返しになりますが、まずは「特性を努力で変えることは不可能」だと諦めてください。一部の天才を除き、普通の人が努力で何でもかんでも克服するのは、あまりにもハードルの高いことです。また、諦められないと、書店に足を運んで「人生を変える」「これだけやれば…」などとタイトルをつけた自己啓発書を購入し、自分を変えようと挑戦するも、結局できずにコンプレックスが増大するという負のループに陥ります。

 人間は面白い生き物で、自分が少ない努力で実現できることとに、ありがたみを感じないのです。それがつまり「得意」ということなのですが、誰にでもできることだと錯覚してしまう。しかし、他人と同じ努力をして実現できなかったことは、コンプレックス化してしまう。何より、その構造を理解したほうがいいです。

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