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木村花さんも苦しんだ「ネット中傷」。弁護士も悩む、定義のあいまいさ

ビジネス

名誉毀損が成立するケースは?

 例えば加害者側が「そんなつもりはなかった」などと釈明した場合にはどう判断されるのでしょうか。

「加害者側が『名誉毀損するつもりはなかった』と主張しても、その内容が一般人の感覚で名誉を毀損するに足りるものなら、『名誉毀損の故意がある』と判断される可能性があります。

 例えば、ある人が『同性愛者である』との記事とその広告について、平成18年の裁判例では、『現在の日本社会においては、同性愛者、同行為を愛好する者に対しては侮蔑の念を抱く者がなお少なくないことは公知の事実ともいえる』ため、『社会的評価を低下させるものということができる』と判示しています。

 もっとも、これは平成18年における『一般人の感覚』であるため、LGBTに対する理解や社会的状況が変化した今では、その一般人の感覚も異なってくるのかもしれませんが」

 今回の事件を受けて、政府は発信者情報開示までのプロセス簡略化、プロバイダ事業者に対する罰則や説明責任の強化などを検討しています。どのような議論が行われるのか注視してみてもいいかもしれません。

<TEXT/林加奈>

子育て中のママライターです。大学卒業後、通信関連会社、広告代理店等を経て結婚後にフリーランスのライターに転身。法律、子育て、キャリア、就活など、さまざまなジャンルの記事を執筆しています
Twitter:@emma_webwriter

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