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“検察庁法”廃案は「安倍政権による“ダンボール肉まん”である」<ダースレイダー>

ビジネス

検事長の定年延長問題をおさらい

ダースレイダー:検察庁法改正案については、各所でいろんな説明がなされていますが、世論の反発を受けて、結局は廃案になりました。

 そもそも法改正が話題になる前から、安倍政権は黒川弘務さんという東京高検検事長の定年を延長していたんですね。延長することによって、黒川さんが上のポスト検事総長に就任することが可能になる。検事長の定年が63歳なのに対して、検事総長には別の定年が設定されていて、それが65歳。

 いろいろ割愛しますが、そこで「定年で退職するはずだった黒川さんが検事総長に就任できるように、検事長の定年を延長したのではないか?」という疑惑の目が向けられた。検察庁法とは関係なく、安倍政権は2020年1月の閣議決定で「黒川さんは非常に優秀だから替え難い」「今取り組んでいる仕事は彼以外できないから」という理由で定年延長を決めている。

 反論はそのときから出ていたけど「おかしくないですよ、もともと法律をそのように変えようとしていたのですよ」と後出しジャンケンのごとく出てきたのが検察庁法改正の問題でした。

「#検察庁法改正案に抗議します」というTwitterデモでみんながおかしいと言ったのは、検察という日本の刑事事件すべての起訴権を持った組織の人事が、時の内閣に有利なものにされてしまうのではないかということ。実際に黒川さんはこれまで政権に尽くしてきた人であり、つまり“政権の言うことを聞く人”を検察のトップにさせようとしているのではないか? と。

「#検察庁法案に〜」へのナンセンスな反論

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ダースレイダー:この意見に対して「わかってないのに反対するな」「法案をよく読め」という話がよく出てくるんですけど、法案をよく読む必要はないんです。なぜなら、わかんなかったら、「どういうこと?」って聞くのが僕らの責任だから。官僚が作ったものを僕らがつぶさに読んで納得する必要が本当にあるのか考えてみましょう。

 僕らが法案を理解しなきゃいけないんだったら、政治家という僕らの代表を国会に送り込んでる意味がありません。“先生”とか呼んじゃって勘違いしてる人が多いけど、彼らは僕らのエージェントです。「僕らが負担なく日常生活を送るための“システム”に関わることを、僕らの代わりに話し合ってもらっている」というような構造だと理解すればいい。

 僕らの疑問に答えるのが国会議員の仕事なので、これができていないということは、彼らが仕事をしていないだけで、僕らのせいではありません。「わからないからちゃんと説明しろ。それがお前らの仕事だ」くらいの姿勢でいいと思います。わからないなら発言するなというのは、まったくもっておかしい。わからなかったら、わからないと言わないとダメなのです。

 普段僕らが気にならないことをふと気になったとき、聞く相手が政治家。そこで政治家は「この制度作ったの○○省の○○ですよね。わからないと言われているので説明してください」ってことをやるのが仕事。だから、検察庁法がわからないのに騒ぐなとか言っているのはナンセンスだと思います。

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