コロナで「マンション価格が大暴落する」は本当か?新築・中古で予測する
不動産の価格はどう決まるのか?
売り手が困っていなければ、価格を落としませんし、赤字額で在庫処分……というのは聞こえがいいのですが、そういう商品はもともとの原価が非常に低く設定されています。
しかし、一般的に新築マンションの原価は75~80%前後であり、残り20%から広告宣伝費と販売管理費と利益が出るという世界なのです。
こうなると、売れ行きが悪くなってもなかなか値下げができない、ということがわかります。リーマンショックの時には20%、30%下がったマンションもあったじゃないですかって? あの時は販売主であるデベロッパー自体が存亡の危機にあり、投げ売りしてでも現金化しないと会社が破滅したからです。
今回は金融機能が正常であり、国もコロナ関連死をなるべく防ぐように金融機関に働きかけているので、カネ詰まりによる投げ売りは小さいデベロッパーならともかく、人気の大手になると起きそうにありません。
とはいえ、中古マンションは多少下がるかも
一方で、中古マンションは少し事情が異なります。中古マンションは取引事例法といって、同地域から似たような条件のお部屋の成約事例と比較して価格が決定されるからです。原価という概念はありません。
中古マンションの売主は個人で、多くの方は住宅ローンを抱えていらっしゃいます。そのため、心理的には住宅ローンの残債+諸費用を乗っけた以上の価格が売り出しのスタートラインとなります。取引が極端に多い東京湾岸エリアや武蔵小杉などは、ほぼデータが揃っていて取引相場が決まっています。
売主のみなさんはもちろん相場以上を狙っているのですが、売主の中でも事情を抱えた人たちがいます。相続だったり、離婚だったり、はたまたは事業で抱えた負債だったり。
こういった切羽詰まった事情があると、コロナによる不景気などで少しでも売れ行きが悪くなると、相場よりちょっと下で売ることになります。この取引が事例として掲載されて、次の取引の参考データとなるのです。
こうした売り急ぎデータが増えていきますと、相場が下落し始めます。もちろん、中古マンション取引が少ない地域でしたら、こうした相場固めを経ずに一気に価格が落ちる可能性もありますが、売る人も買う人も多い東京でしたら残念ながら、落ちるとしても徐々に、ということになります。といっても下げ幅は1年間で最大10%程度かと考えております。