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コロナ倒産した「飲食・食品業界」の9社。収束後も厳しい状況が続くか

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休校・イベント自粛の余波を受け…

休校

 休校やイベント自粛の影響を倒産理由としているのはこの業界ならではだろう。

 休校による給食中止を倒産理由とした企業は、山梨県で給食用の冷凍食品および業務用食材を販売していた「(株)新和」(負債額:約1億円)、静岡県で地元の食料品店や市場、学校給食向けに豆腐を製造販売していた「(有)トキワサンコウ」(負債額:約8100万円)、北海道で給食向け食材の供給もしていたスーパーマーケット「(有)ムライストアー」(負債額:約7900万円)の3件が報告されている。

 イベント自粛を理由とした倒産企業は、主力販路だった葬儀や通夜の自粛に影響を受けた、東京都でケータリングサービスを運営する「(株)松田商事」(負債額:約1億8500万円)、宮城県で「ベガルタ仙台」や「東北楽天ゴールデンイーグルス」のスタジアムに出店していた麺類製造販売の「(株)星栄商店」(負債額:約1億円)などがある。

「需要の後食い」はそれほど大きくならない

 このように新型コロナウイルスは飲食業・食品業に大きな影響を与えているが、明治学院大学経済学部専任講師で経営学者の岩尾俊兵氏によれば、感染が全国的に広まる前後では状況が少し異なったという。

「当初は外出制限の厳しい地域のお店の客を、外出制限がそれほど厳しくない地域のお店が奪うという状況が起きていた。しかし、感染が全国的に拡大してからは、地域間での『需要奪い合い』から、日本全体での需要減となる『均等な負担』へとシフトしました」

 また、観光業と同じく新型コロナの収束後には「需要の後食い」が生じると考えられるが、一方で「規模はそれほど大きくならないだろう」と岩尾氏は言う。

「買い控えたところで1日5食6食を食べる人はいないので、飲食業での需要の後食いはそれほど大きくはならないでしょう。例外は、高級店での食事や結婚式、2次会などもとから頻度が少なく、事前に約束しておくタイプの外食。こちらは観光と同じくコロナ収束後にプラスの影響が考えられます」

 Uber Eatsや出前館などの宅配サービスの需要は急増している分野もあるが、飲食業・食品業全体ではコロナ収束後も厳しい状況が続くようだ、

<TEXT/日和下駄>

俳優・ライター。興味のあるジャンルはサブカルチャー全般。子どもの頃の愛読書は『Windows100%』。しかし、現在はiPhone、MacBook proもちのAppleユーザー
Twitter:@hiyori_geta

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