コロナ倒産した「観光関連企業」10社の苦境。負債額160億円超えのホテル業も
雪不足に加えコロナ。弱り目に祟り目
また、併設する観光施設の集客減少による倒産もあった。広島で西日本最大級のスキー場「瑞穂ハイランド」を運営していた「瑞穂リゾート(株)」は、暖冬による雪不足での営業日数の短縮など、厳しい状況の中で営業を続けていたが、新型コロナウイルスの影響によって来場者がさらに減少。
グループ会社でリゾートホテル・旅館運営をしていた「(株)瑞穂商事」、スキー場施設賃貸をしていた「バークリープロパティ(株)」と共に倒産した。その負債額はグループ全体で約30億円にのぼり、総額では観光業で最大となる。
観光業ではほかに、神戸でクルーズ船の運行を行っていた「ルミナスクルーズ(株)」も話題となった。
同社は国内最大級のレストランシップ「ルミナス神戸2」を有し、神戸ハーバランド内の観光スポットとして観光客を中心に人気を博していた。しかし、2018年の大阪北部地震、台風12号など自然災害での運行中止が相次ぎひっ迫した経営状況の中で、新型コロナウイルスによる多数のキャンセルがとどめを差し倒産に至った。
同社は約12億4300万円という負債額の大きさに加え、西日本で初の倒産企業となりメディアの注目を集めた。
倒産件数、負債額が他業界より多いのは
ここまで観光業界の企業を見てきたが、他の業界に比べてでは倒産件数、負債額ともに大きい。どの企業もそもそもの経営不振を原因として挙げているが、明治学院大学経済学部専任講師で経営学者の岩尾俊兵氏によれば、それに加えて観光業の資金繰りの方法も大きく影響しているようだ。
「ホテルなどの宿泊業に加え、イベント、研修系のコンサルティングなどは短期的な資金繰りで経営している企業も多い。そのため観光やイベント・セミナーなどの業界はかなり厳しい経営状況になります」
つまり、旅館やホテルでは宿泊客が減少すれば、すぐに資金繰りがひっ迫する経営方法をとっているということ。その結果が倒産件数の多さに現れていると考えられる。
「ただ観光・旅行は『年に◯回は〇〇に行こう』と決めている消費者も多い。そのため今控えられている需要はコロナ収束後に実現されるでしょう」
収束後に使えるようになる「みらいの宿泊券」といった商品を販売する企業もある。観光業ではこの難所を乗り切る資金をいかに確保するかが、生き残れるかの鍵になりそうだ。
次回、<コロナ倒産した「飲食・食品業界」の9社。収束後も厳しい状況が続くか>に続く。
<TEXT/日和下駄>