コロナ倒産した「観光関連企業」10社の苦境。負債額160億円超えのホテル業も
その猛威は衰えることを知らず、いまだ緊迫したムードの続く新型コロナウイルス。長期化する自粛要請が経済に与える影響は大きく、民間調査会社である帝国データバンクが4月27日に行った調査によれば、新型コロナウイルスの影響で倒産した企業は全国で100件にのぼる。
新型コロナウイルスが日本経済に与え続けている影響を把握するため、倒産件数は現在も増加傾向にあるため暫定的にではあるが、新型コロナ関連倒産企業を各業界ごとに見ていきたい。
今回はメディアでその大きな影響が報じられることも多い観光業界での倒産企業を紹介する。
10億円以上の負債を抱える企業多数
観光業界全体を概観すると宿泊業の倒産が目立つ。その中でも話題を呼んだ倒産企業をピックアップしよう。
4月27日、「WBFホテル&リゾーツ(株)」が民事再生法の適用を申請。負債総額は新型コロナウイルス関連の倒産として最大の約160億円。関西や北海道などグループ計38のホテルを運営する同社は、インバウンド需要を狙い、順調に規模を拡大していた。だが、この度宿泊客からキャンセルが続出し、資金繰りに行き詰まったようだ。
負債額が約23億8800万円の「(株)冨士見荘」は、愛知県で1956年創業の同名旅館を運営していた老舗だった。しかし、近年は業績不振に陥っており2013年には資金ショートも起こっていた。その後も事業を継続していたが、こちらも新型コロナウイルスの中国からのツアー客のキャンセルが相次ぎ、半世紀の歴史に幕を閉じた。
インバウンド需要の減少を受けた倒産は、沖縄のレンタカー会社「(株)ニューステップ」(負債額:3億9000万円)、京都で着物の販売・レンタルを行なっていた「京洛和蒼(株)」(負債額:1億5000万円)などがある。
インバウンドに限らず、アウトバウンドに関してもかなり厳しい状況だ。1982年に設立された兵庫県の旅行代理店「(株)マイチケット」(負債額:1億7800万円)は海外ボランティアやスタディツアーに関連した企画を展開する企業。負債を抱えていたものの、順調に売り上げを伸ばしていたが、急激な需要減により経営が悪化。借入金の返済が困難と判断し、自己破産を申請した。
約18億円の負債を抱え倒産したのは、山口県で「萩グランドホテル天空」などを運営していた「長州観光開発(株)」だ。状況としては「WBFホテル&リゾーツ(株)」、「(株)冨士見荘」と同様、厳しい経営状況の中で宿泊予約のキャンセルが相次ぎ破産申請に至った。
帝国データバンクによれば直近のキャンセルは3月に80%、4月に95%に達し、新型コロナウイルスの影響は非常に大きなものであったようだ。