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六本木、銀座…ドン・キホーテは、なぜ一等地に出店するのか?

ビジネス

立地重視にしても家賃は粗利の20%が限界

銀座8丁目

 そもそも売上50万円というのは粗利ではなく、家賃に使えるお金でもない。仕入れのことや人件費など考えなければいけないことはたくさんある。一般的には、粗利の10%ほどを家賃に回すと安全と言われている。立地重視にしても20%が限界と言われることが多い。

 このとき、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルの財務・業績情報によるとドン・キホーテの売上総利益(販売費及び一般管理費を引く前の利益)率は26~28%程度なので、あいだを取って27%を用いるとドン・キホーテの店舗1㎡当たりの売上総利益は21万6000円となり、その10%となると2万円超である。

 年間の粗利の時点で銀座の家賃に匹敵するため、その10~20%の数値と比較する意味さえ薄い。もちろん、実際には銀座店のほうが利益は大きいと考えられるが、平均の10倍、20倍ということは考えられないだろう。

顧客層を拡大する必要が

 このことの異常さは次のように例えてみるとより理解しやすい。たとえば年間3万人が来店し1人平均1000円を使う人気のラーメン店があるとする。売上は3000万円である。このラーメン店が月の家賃に62.5万円をかけているような状況に相当するのである。六本木ヒルズの一室で夜景を見ながら博多とんこつラーメンを売っているようなものである。

 このように、通常の説明をおこなってもなお一等地のお店は利益率が薄いことに注目すべきである。

 ここで、経営学者の視点からは次のようにドン・キホーテの謎を解くことになるだろう。秘密は顧客情報と今後の戦略にある。ひとつめの顧客情報について、創業当初からしばらくドン・キホーテが相手にしていた顧客というのは価格に敏感な層だったといえる。

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